「真田丸」さらば昌幸…草刈正雄「最高の役」愛着格別「お化けで…」

[ 2016年9月24日 08:00 ]

25日放送の第38話「昌幸」では、真田昌幸(草刈正雄)が九度山で衰えていく姿が描かれる(C)NHK

 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で主人公・真田信繁(堺雅人)の父・昌幸を演じる俳優の草刈正雄(64)。戦国時代きっての智将を、熟練の演技力で軽やかに好演している。豪快かつ飄々としたキャラクターで視聴者から愛されてきた昌幸だが、ついに25日放送の第38話「昌幸」でこの世を去る。「俳優人生No1作品、一番最高の役」と語るほど役柄に強い愛着を抱く草刈が今作を振り返った。

 出演シーンをすべて撮り終えた草刈は「やり切らせてもらいました。良い作品に恵まれました」とクランクアップに感無量の様子。だが、同時に昌幸を演じられなくなる名残惜しさもこみ上げ「(撮影現場に)ふら~っと遊びに来るかもしれないですね。『通行人で出して』とか『百姓で出して』と。(脚本の)三谷(幸喜)さんはすぐに乗ってくれるかもしれない」とお茶目に語る。

 第13話「決戦」(4月3日放送)で描かれた第一次上田合戦。昌幸の策が次々と成功し、真田軍は徳川家康(内野聖陽)の大軍勢を退けて見事に勝利。物語の序盤、昌幸の知略家ぶりは“もう一人の主役”と呼ぶにふさわしいMVP級の存在感を放ち、ドラマを引っ張った。

 その存在感と比例して、セリフの量も“主役級”。ベテラン俳優の草刈が「こんな量は経験したことがなかった」とこぼすほど膨大なセリフ量だった。「序盤は凄かったんですよ。出れば、ずっとしゃべっていて、(撮り終わった後に)『草刈やったぞー!』と拍手をもらったこともありました。やればできるんだなと思いましたね」と笑顔を見せる。

 今月2日、青森県田舎舘村で行われた番組関連イベントに登場した際には「(真田丸は)私の俳優人生の中でナンバーワンの作品、真田昌幸という役も今までの中で一番最高の役」と語ったほどの思い入れ。草刈にとって、昌幸の魅力とは何だったのか。

 「昌幸は思いっ切り生きていますよね。ラテン系の弾けたオヤジのように、思い切り生きているところが魅力だと思います。物事にとらわれずに自分の道を切り開いて、周りを巻き込んで…。そういった豪快さや、喜怒哀楽が激しくて子どもにもしがみつくところが人間くさくて良いと思いました」

 第26話「瓜売」(7月3日放送)では、ひょうきんな“瓜売り”になり切り、美声を披露。第36話「勝負」(9月11日放送)では、関ヶ原の戦いに勝てば甲斐・信濃を領地として与えられることを石田三成(山本耕史)から約束され「よっしゃー!」と渾身のガッツポーズ。時に熱く、時にコミカルに暴れ回る昌幸は、視聴者の心をがっちりとつかんだ。

 1985年から86年にかけて放送されたNHK「真田太平記」では、信繁を演じた。奇しくも親子二代を演じることになったが、同作で昌幸役だった故・丹波哲郎さんの演技は自然と脳裏に浮かんだという。

 「丹波さんは僕のセリフ回しの中にどんどん出てきましたね。丹波さんならこうやるだろうなとか考えることもなく、丹波さんになってしまっている時もありましたから。相当お茶目な人でしたから、スタジオのどこかに入り込んでいたのかもしれないですね」
 
 関ヶ原の戦いで西軍が敗れ、高野山への流罪が決まった昌幸と信繁。第38話では、九度山(和歌山県)で年月を重ねる中で衰え、ついに最期を迎える昌幸の姿が描かれる。

 草刈は、今後の真田家を担う信之(大泉洋)と信繁に向けて「せっかく面白い台本なんだから、もっともっと楽しめと伝えたいです。もちろん、2人はそんなことは言わなくても分かっていると思いますけどね」と“遺言”。「残りの放送が楽しみですね。お化けで出ようかな」と柔和な目で微笑んだ。

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