こち亀、君の名は。…現実と漫画・アニメの“共存” みんなが笑顔でいられる環境を

[ 2016年9月23日 09:00 ]

こち亀の「亀有公園前派出所」のモデルになった亀有駅北口交番

 人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の連載終了が発表されてから一夜明けた今月4日、作品の舞台である葛飾区亀有を取材した。

 亀有銀座商店街(ゆうろーど)では連載終了を惜しみながらも「これからも亀有は両さんの町です」と、たくさんの人が話していた。同商店街の会長で「うなぎ川亀」店主の仲林和夫さん(68)は「こち亀のおかげで亀有という地名が全国に知れ渡った」と誇らしげだった。

 亀有がこち亀の聖地であるように、漫画やアニメの舞台となった場所が聖地として親しまれるケースは多い。

 茨城県大洗町はヒットアニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台。「聖地巡礼」と称して同町をファンが訪れることを知った自治体は、ふるさと納税の返礼品として同作のグッズを追加。すると、昨年12月だけで納税額が1億6000万円に達した。

 亀有や大洗などは、漫画、アニメと現実がうまくリンクした良い例だ。

 一方で大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」の公式サイトでは9日、「“君の名は。”関連場所訪問(聖地巡礼)についてのお願い」と題した文章を掲載。

 「本編中に登場する、または関連のある場所へ、多くのファンの皆様にお越しいただいておりますが、近隣の方々より騒音や早朝深夜の訪問に関する苦情を多数いただきました。(中略)節度のある行動、及びマナーに十分心掛けていただきますようお願い申し上げます」とファンへ注意を促した。

 作中に登場する風景を実際に見てみたい。登場キャラクターが何かを行ったところで、同じことをしたい。という気持ちはよく分かる。ただ、聖地に住む人たちがその場所で、現実の生活を送っていることへ気遣いを忘れてはいけない。

 亀有や大洗のように、現実と漫画、アニメが共存することで、たくさんの人に作品や町のことを知ってもらえることは素晴らしいことだ。みんなが笑顔で、その作品により親しめる環境が広がっていくことを願いたい。(記者コラム)

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