志村けん コントへの情熱「となりのシムラ」台本1行にもリアル追求

[ 2016年9月22日 08:00 ]

コント番組「となりのシムラ #5」の1場面(左から志村けん、阿部サダヲ)(C)NHK

 志村けん(66)が“座長”を務めるNHK総合のコント番組「となりのシムラ #5」は、22日午後10時50分から放送される。志村の従来のコントとは一線を画すドラマスタイルが好評。コントに懸ける志村のあふれる情熱を、同局の水高満チーフプロデューサーが証言した。

 ◆リアリティー追求が好評、セリフ1行にせめぎ合い

 2014年12月に始まり、シリーズ第5弾を迎える今回も、志村がどこにでもいそうな“普通のおじさん”の悲哀を巧みに表現。いかにもありそうな日常の1場面を描く。クスッと笑え、後からジーンとくる大人のコメディー。コント番組「サラリーマンNEO」や連続テレビ小説「あまちゃん」などで知られる吉田照幸監督とタッグを組み、リアリティーを追求したドラマスタイルは、志村の代表的コント「バカ殿様」「だいじょうぶだぁ」とは異なる。

 収録が行われたのは今年6月。ネタの選定や台本の執筆など、準備に約3カ月をかけ、全7本のコントを3日間のロケで撮影した。準備期間、撮影日数は第4弾までとほぼ同じ。水高氏は「今回は今までで一番スムーズだったと思います。何と言っても志村さんと吉田監督の意思疎通ができていて、信頼関係にあること。お互い同じ方向を見ているので、現場で急な変更があっても撮影が止まらないんです」と振り返った。

 ただ、順調に進んだ収録の中、志村のリアリティーへのこだわりは変わらなかった。

 「とにかく志村さんが本当にキッチリ台本を読むんです。セリフも1行1行、じっくり吟味して。『この人間だったら、このセリフは言い過ぎじゃないか』『この人間だったら、こういうことを言うだろうか』とリアルさの追求は毎回、厳しいです。ギャグなどでオチを取るコントとは違い、この番組は志村さんがいかにもいそうな普通の人を演じ切るのがポイント。となると、いかにもな“笑わせゼリフ”は日常会話にないので、すぐに指摘が入ります。どんな頃合いが『となりのシムラ』的にちょうどいいか?一流の作家陣と監督、志村さんとのせめぎ合いです」

 例えば、俳優の阿部サダヲ(46)と共演した今回のコント「そば屋」。志村演じる上司はおいしいそば屋を探す。それは会社の近くにあるのか、出張先にあるのか、自宅の近くにあるのか、旅行先にあるのか。どこにあるのがリアルなのか、スタッフとともに徹底的に考え抜く。

 ◆台本を仕上げ、役になり切ったからこそ飛び出すアドリブ

 その上で、役になり切っているからこそ、時にはアドリブも出る。

 「考え抜いて作り込み、そして、その人物になり切り、そのキャラクターに入ってしまうので、アドリブもあります」。昨年8月放送のシリーズ第2弾で、俳優の西田敏行(68)と共演した病院コント「同室の男」。「普通に本読みをすると8分ぐらいのネタ。それが、西田さんもさすがにアドリブに対応できる方なので楽しんで、2人のアドリブが飛び交って約25分に。オンエアは縮めましたが、8分には収まらず、12~13分で放送しました。リハーサルの時は2人とも台本通り演じていたんですが、本番になるとドンドン膨らんで、スタッフも大爆笑でした。ただ、そのアドリブも全部リアルな会話で。このキャラクターであれば、そう言うであろうことを言っているんです。本当にプロなんです」

 「かぶりものなし」「一発ギャグなし」「普通のおじさん」というコンセプトで、志村と仕事がしたいと第1弾を企画。水高氏は年3~4本の制作ペースと並行しながら「夢は映画化。コントの連なりですが、志村さん演じる1人の男の物語として描いてみたいです」と構想を語った。

 今回は阿部と共演する「そば屋」のほか、高木ブー(83)と約10年ぶりに共演する「相談焼肉」、女優の岸本加世子(55)と共演する「2人きり」、元フジテレビの八木亜希子アナウンサー(51)と共演する「親のまね」など、7本のコントを送る。

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