渡辺謙男泣き「言葉になりません」映画祭1400人総立ち

[ 2016年9月12日 05:30 ]

トロント国際映画祭の公式上映後の舞台あいさつで涙を必死にこらえる渡辺謙

 俳優の渡辺謙(56)が主演する映画「怒り」(監督李相日、17日公開)が10日(日本時間11日)、カナダで開かれている第41回トロント国際映画祭で公式上映された。上映後、総立ちの観客から大きな拍手が送られ、渡辺は「言葉になりません」と男泣き。日本を代表する豪華キャストがそろった作品が、最高賞である観客賞に向け好発進を切った。

 約1400人の熱い拍手の中、舞台に上がった渡辺は「とても言葉になりません」と声を震わせた。「この映画を見るのは2度目なんですが…」と話し始めたが、こらえ切れず男泣き。「彼のせいです」と隣に立つ李監督を冗談めかして称え、会場を笑いに包んだ。

 映画は殺人事件の真犯人を追いながら、「人を信じること」の意味を問い掛ける感動作。渡辺のほか宮崎あおい(30)妻夫木聡(35)松山ケンイチ(31)ら豪華キャストが集結。日本を代表するメンバーの熱演に、会場からはすすり泣きの声が何度も漏れた。

 渡辺も観客の一人になって感涙。「心の芯まで揺さぶられる作品。この映画は凄いと再確認しました」と自信を深めた。

 北米最大規模の同映画祭に参加するのは初めて。それでも、数多くのハリウッド映画に出演してきただけに、知名度は抜群。この日の上映は同映画祭で最大級の収容人員を誇る「エルギン・シアター」で行われ、劇場前にも約300人のファンが渡辺の姿をひと目見ようと集まった。

 公式上映が盛り上がったことで、賞への期待も高まる。同映画祭は審査員が賞を決めるコンペティションを設けず、全部門の中から観客投票で選ぶ「観客賞」を最高賞と位置づけている。注目作品を上映するスペシャル・プレゼンテーション部門で出品された「怒り」も最高賞候補の一つ。2010年公開の米映画「インセプション」で共演して以来、親交があるレオナルド・ディカプリオ(41)のプロデュース作品「ビフォア・ザ・フラッド」などとその座を争う。

 結果は18日発表。渡辺は「競争ではない」とする一方で「外国のお客さんにも届くという思いを強くした」と手応えを口にする。「怒り」は16日にスペインで開幕する第64回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペ部門に出品されることも決まっている。目指すは北米と欧州での2冠達成だ。

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