アニメ、ゴジラが大暴れ!

[ 2016年9月9日 08:08 ]

 【佐藤雅昭の芸能 楽書き帳】今年の夏もアニメーションや特撮映画が人気を集めた。「ファインディング・ドリー」、「ONE PIECE FILM GOLD」、そして「シン・ゴジラ」の3強が下馬評通りの好成績。「ドリー」はまもなく興行収入70億円に到達、「シン・ゴジラ」も同60億円を超え、「ワンピース」も50億円目前だ。

 夏休みの終盤に封切られた「君の名は。」も絶好調。興収60億円という東宝の皮算用を大幅に上回り、今年のナンバーワンに躍り出るかもしれない。オールドファンなら、つい“真知子巻き”で一世を風びした往年の同名の大ヒット作を連想してしまいそうだが、むろんそのアニメ版ではない。「秒速5センチメートル」(07年)「言の葉の庭」(13年)など意欲作を世に放ち、ポスト宮崎駿(75)、細田守(48)との呼び声も高い新海誠(43)の新作で、少年と少女が経験する恋と奇跡の物語だ。

 「シン・ゴジラ」の奮闘も目を引く。「ゴジラ FINAL WARS」以来12年ぶりとなる日本製作のシリーズ第29作。総監督・脚本を庵野秀明(55)、監督・特技監督を樋口真嗣(50)が担当し、国産では初のフルCGゴジラが登場した。昨年公開のハリウッド版「GODZILLA」が、「核実験は海中に生息するゴジラを殺すためだった」と、いかにも米国にとって都合のいい脚本で作られていて、納得いかなかっただけに個人的にも余計に庵野版を期待していた。

 これからご覧になる方のために詳しくは書かないが、日本に現れた巨大生物に対して、人間がどう対処するかがスリリングに描かれた。ちなみに筆者が暮らす目黒区も、後輩が住む武蔵小杉も壊滅的な被害を受けた。ツチノコのような形から118・5メートルへと巨大化したゴジラは難敵。ただ残念ながら54年公開の第1作のような怖さは感じなかった。CGのせいだろうか。生物というより内部に操縦席があるような錯覚を覚えた。

 音楽は「新世紀エヴァンゲリヲン」でも庵野氏と仕事をしている鷲巣詩郎氏(59)が担当したが、54年にNHK交響楽団が録音した伊福部昭氏作曲のオリジナル音源も使っていたのはうれしい限り。やはりゴジラといえば、伊福部サウンドにトドメを刺す。

 ハリウッドは18年に「GODZILLA」の続編、そして20年にはコングとゴジラを激突させる。「キングコング対ゴジラ」といえば、62年に公開され、1120万人を動員する大ヒットを記録した東宝版が忘れられない。米国版も楽しみではあるが、見たいのは次の国産ゴジラ。欲をいえば、大映ガメラとの世紀の対決が見てみたい。(編集委員)

 ◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。

続きを表示

2016年9月9日のニュース