「真田丸」も好評の遠藤憲一 三池監督で“開眼”初モザイクも

[ 2016年8月28日 09:00 ]

「HOPE~期待ゼロの新入社員~」で熱血課長を演じる遠藤憲一(C)フジテレビ

遠藤憲一インタビュー(下)

 俳優の遠藤憲一(55)がフジテレビ「HOPE~期待ゼロの新入社員~」(日曜後9・00)で熱血課長を好演している。今や引く手あまたの存在で、現在は戦国大名・上杉景勝を演じるNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)と撮影を並行。「1作1作、オーディションだと思って」出会いを大切に取り組んでいる。ターニングポイントの1つは鬼才・三池崇史監督(56)との出会いだった。

 遠藤が「真田丸」で演じる景勝は豊臣政権の五大老の1人。先代・上杉謙信の養子として上杉家を継ぐ。主人公・真田信繁(堺雅人)と不思議な縁があり、若きの日の信繁は景勝の人質となる。関ケ原の戦いは、ともに反徳川として戦うが、大坂の陣は景勝が信繁の大坂城を囲むことに。

 掛け持ちは「大変ですよ、そりゃ」と苦笑いしながらも「呼んでくださるんなら、やるというクセがついているのかもしれないね」と“仕事の虫”の一面も。

 歴史はそれほど詳しくなく、最初は役のイメージが湧かなかったという。過去に景勝が描かれた映像作品を見直し「力はないですが、義を通そうとする心の根っこだけは、何とか上杉謙信を受け継ぎたい。必死な男を演じよう、というのだけは決めました。理想はあるんですが、力が弱いので、どうしても自分の理想と違う形で生き延びる。でも、義を受け継ぎたい。そこを一番出したかったかな」と演技プラン。「そういうふうに思っていたら、自然とそういう三谷(幸喜)さんの脚本になりました。直感だけはあるんで」と振り返った。

 1年間を通しての大河ドラマは自身初。当初の予定より出番が多く「ありがたいことですね」と笑みを浮かべた。

 1990年代後半からVシネマやカルト映画に数多く出演し、ブレーク。今やテレビでも欠かせない存在になり、昨年は4月クールが日本テレビ「Dr.倫太郎」とTBS「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」とテレビ東京「「不便な便利屋」、7月クールがテレビ朝日「民王」、10月クールがTBS「結婚式の前日に」。今年は1月クールのフジテレビ「お義父さんと呼ばせて」に「真田丸」「HOPE」と出ずっぱり。もちろん、この間に単発ドラマや映画もあった。

 35年以上に及ぶキャリアの中で、転機の1つは「ゼブラーマン」「クローズZERO」「悪の教典」などで知られる三池監督との出会いだった。出張でフィリピンを訪れ、冤罪で逮捕される商社マンを描く映画「天国から来た男たち」(2001年公開)。最初のシーンはフィリピンの刑務所で、主演を務める吉川晃司(51)との会話。三池監督からは、大きい方の用を足しながら話して、と求められた。「『えっ?』と思いましたが、そういうことも平気なんだなと。もう、何でもよくなっちゃって。実際には出しませんでしたが、パンツ脱いで、モザイクかけられたのも初めてでした」と笑いながら振り返った。

 「1場面1場面がギャグじゃなく、もう1個、思い切って突き抜けるというのを、いっぱいやらせていただいて。三池さんとやっているうちに、ワーッと開放されました。それ以来、自分のイメージが思い付くと、こういうふうにやったら恥ずかしいとかダメなんだろうなと思わず、思ったことはまずやっちゃってみたり、言っちゃってみたり。そういうクセがついていったような気がします。役者として大きく変わったのは、芝居自体が大きく変わったのは、三池さんと出会ってからかもしれないですね」

 今後については「こればっかりは出会いなんで。やってみないと、分からないです。どういう役をやりたいとか、そういうのは全然ないんで。いい出会いがあれば、自分が想像もしなかったような作品に出会えたりもするだろうし。こればっかりは過ぎてみないと分からないですね。自分からああしたい、こうしたいというのはないです。出会いなんて操作できないし」と自然体。

 ただ、過去にオーディションに落ち続けた経験から「1作1作、オーディションだと思っているのね。1作1作、手を抜かずにやり続けていれば、その1作をちゃんとやっていれば、また使ってもらえる」と一期一会を肝に銘じる。「HOPE」も「全く予想していなかった出会い。いい作品に出会ったと思っていますよ。なかなか出会える作品じゃないです」と実感がこもる。撮影も終盤。今回も最後まで全力を尽くす。

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