生稲晃子と乳がんの「第2の戦い」増え続ける患者を減らしたい

[ 2016年8月11日 10:47 ]

乳がんに伴う乳房再建をテーマにした医学セミナーに出席し自らの闘病経験を語る生稲晃子

 北斗晶(49)や小林麻央(34)ら、芸能界で乳がんを患う人が増えている。国全体の統計をみても、現在の罹患(りかん)率は女性の14人に1人と言われる。

 そうした患者の1人でもあるタレントの生稲晃子(48)が、今月2日にコメンテーターとして参加した医学セミナーを取材。芸能ニュースで乳がんを取り扱いながらも、足りていない部分があった知識をたくさん得ることができた。

 乳がんの主原因は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌増加。出産、授乳期に分泌は大幅に低下するが、晩婚化、少子化の影響で数値が高い女性が増えたのが一因とされる。ただ、早期発見なら比較的治りやすい。さらに3年前から、乳房再建手術に保険が適用されたことで、無理な温存療法をせず全摘出をする選択肢も選びやすくなった。

 セミナーでは再建手術を受けた患者数人の胸部写真が紹介された。一度平らになった胸とは思えないほど綺麗に左右対称に戻っており、違和感はほとんどない。乳輪、乳頭も再現され、手術をしたようには見えない。驚かされた。妻を持つ身として聞き入った。

 自身も再建手術を受けた生稲は「女性にとって胸は大切なもの。選択肢が増えている今、検診にたくさん行って、どんな質問でも先生にぶつけてみましょう」と訴えた。

 セミナー終了後、生稲とじっくり話す機会を得た。11年にがんが見つかり、13年に再発。医師に「次にがん細胞が出てきたら危険かもしれない。娘さんのためにも」と言われ、全摘出を勧められた。もちろん、即断できたわけではない。「片方の胸が真っ平らになるということは想像できなかった」。それでも「娘が成人するまでは生きていてあげたいと覚悟を決めました」と振り返った。

 乳房の再建には「エキスパンダー」と呼ばれる風船のようなものを胸部に埋め込み、皮膚を伸ばす必要がある。生稲の皮膚は、放射線治療の影響で伸びにくく「これ以上傷を増やしたくないということもあり、ダメなら再建は結構ですとお医者さんに伝えた」という。しかし乳房を取り戻した今、「ひとつのつらかった出来事が自分の中で完結した。普通に下着を着けられることが幸せだと思います」と、精神的なプラス面を強調した。

 現在は投薬によるホルモン治療に取り組み「大きなトラブルはまったくない」という。病気の公表を機に「おニャン子クラブ」の仲間ら、長く連絡を取っていなかった友人からも連絡が来たといい「そういう意味では、病気に感謝したい。今こうして笑ってしゃべれるようになって、全摘出を決めたときの先生の言葉の重さを感じます」としみじみと話した。

 かつては40代以上に多かった乳がんも、ここ数年は20代にも患者が増える傾向がある。生稲は、「とにかく、1人でも多くの方に検診に行ってほしい」と呼びかけ続けている。笑顔で病気を克服する女性を増やすためにも、早期発見の啓蒙に助力していければと思っている。

続きを表示

2016年8月11日のニュース