妻夫木聡、初の“父親役” 撮影で戸惑いも「ようやく大人の仲間入り」

[ 2016年7月30日 12:00 ]

ドラマ「キッドナップツアー」に出演する主演の妻夫木聡と子役の豊嶋花(C)NHK

 俳優の妻夫木聡(35)がNHK夏休みドラマ「キッドナップ・ツアー」(8月2日後7・30)で主演を務め、自身初の本格的な“父親”役に挑戦する。新たな試みとなった“父親”役を通じて、子役・豊嶋花(7)との触れ合いや撮影時の思い、新たに芽生えた父親像について語った。

 原作は直木賞作家の角田光代氏(49)の同名児童小説で、2カ月前に家からいなくなった不器用な父親タカシ(妻夫木聡)が、実の娘でクールな小学5年生ハル(豊嶋花)を“ユウカイ(誘拐)”する。2人がハラハラどきどきの“一夏の旅”を通じて心を通わせていく姿を描く物語。演出は2013年にNHK特集ドラマ『ラジオ』で芸術祭大賞に輝いた岸善幸氏(52)が務める。

 これまでは“爽やかな好青年”を演じる機会が多かった妻夫木だが、本格的な父親役は今回が初めて。撮影にあたり「自分自身もまだ父親になったことがないので、父と子どもの距離感をいろいろ考えたりはしていました」という。それでも「あまり“父”ということを捉えては演じませんでした」と自然体で撮影に臨んだ。

 娘役の豊嶋とは「純粋に僕を遊び相手としていっぱいぶつかってきてくれたので、芝居でも普段の生活の中でも徐々に仲良くなっていきました」と相性は抜群。「最後のお別れのシーンも、お芝居じゃない感じでお互いが過ごしてきた時間で生まれた感情が出せたような気がします。一緒にすごした時間はウソじゃなかったのかなというのはありますね」と振り返った。豊嶋も「妻夫木さんは演技が上手い方というイメージだったのですが、それに“面白い!”というのがプラスされて、撮影期間中もすごく面白かったです」と“父”を褒めた。

 しかし撮影には戸惑いもあったという。「(父親役に)プレッシャーとかは一切無いですけれど、ちょっぴり感慨深いものはありました。自分もそういう年齢になったんだなと…。実際に子どもを持った人たちを周りに見るようになって、彼らは本当にお父さんの匂いがするので、そういう匂いを今(子どもが)いない中でも出さなきゃいけないというのは課題だなと思いました」。それでも「いつからが大人なのかはちょっと分からないですけれど、逆に言うとようやく大人の仲間入りを一歩踏み出した感じなのかな」とはにかんだ。

 作中のタカシは不器用でお金もなく失敗続き。「ただの馬鹿には見られたくないなというのはありました。どうしようもない所もあるのですが、どこか放っておけなくなるような…。そういう可愛げのある男です」とタカシを分析。「別に大人になったから遊んじゃいけないわけじゃないと思う。ひと目を気にせず、世間体とかも考えず、子どもと一緒にバカができるというのも魅力なのかな…。そういう所がタカシの良さであり、見習うべきことりだと思います」と“父親”タカシは魅力がいっぱいだ。

 「アレダメ、コレダメっていう父にはなりたくないですね。タカシほど不器用でいたくはないですけど、ある程度はああいう(タカシとハルの)距離感はいいのかな。同じ立ち位置で、同じ目線で、色々なことを話しながら過ごしていける親子が築けたらいいなと思っています」と、“父親”へのイメージを大いに膨らませた。

 妻夫木の新たな試みとなった「キッドナップ・ツアー」。豊嶋との温かな触れ合いとともに、“父親”役への挑戦から目が離せない。

続きを表示

この記事のフォト

2016年7月30日のニュース