SWもニモも…時代の先を読むハリウッド 映画に押し寄せる“女性の波”

[ 2016年7月12日 08:40 ]

ハリウッド映画にも影響!?米国史上初の女性大統領の座を狙うヒラリー・クリントン氏(AP)

 夏休み映画の大本命「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」が公開された。1996年に大ヒットした「インデペンデンス・デイ」の続編。実際の年月と同じく、巨大宇宙船で飛来したエイリアンを人類が撃退してから20年後が描かれる。ハリウッドの特撮技術も格段に進歩しているだけに、エイリアン母船の破壊力や戦闘シーンの迫力もスケールアップしている。

 ド迫力の映像とともに注目を集めているのが、ビル・プルマンが演じる元米大統領の娘、パトリシア・ホイットモア役に抜てきされたマイカ・モンロー(23)だ。プロのカイトボーディング選手としても活躍する美女で、強烈な印象を残す。

 実はいま、ハリウッド映画に“女性の波”が押し寄せている。昨年末に公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」も主人公が女性になり、ファンを驚かせた。8月19日に日本で公開になる、こちらも32年ぶりのリメイク「ゴーストバスターズ」も、幽霊退治に駆け回る4人がすべて女性に変わった。米国では一部で「なぜ全員女性にする必要があるのか?」と批判の声も出ているが、4人はいずれも現在活躍中のコメディエンヌで、試写では笑いの連続だったという。

 米国で記録的ヒットとなっている、「ファインディング・ニモ」の13年ぶりの続編「ファインディング・ドリー」も、主人公がカクレクマノミのニモくんから、ナンヨウハギのドリーさんにバトンタッチした。

 ハリウッドでは女優、女性スタッフ、女性のキャラクターを軽視していると、長きに渡り指摘されてきた。2015年のアカデミー賞では、最優秀助演女優賞を受賞したパトリシア・アークエットが受賞スピーチで「今こそ(男優と比べ)平等の賃金を得て、権利を持つとき」と訴えて話題となった。

 洋画関係者によるとハリウッド作品における“女性の波”は、「ヒラリー・クリントン氏が米大統領選で、ポストオバマ大統領の本命と言われ始めたころから顕著になった」と話す。米大統領選は11月。「主役の男優を食うようなヒロインや、女性が主人公の大作が増えたのは“女性大統領の誕生”と無縁ではない。世間の空気と合わせるような作品を送り出す準備をしていたはず。ハリウッドは時代の先を読むことはうまいですから、そういう意味でもトランプ氏の当選はないでしょうね」と付け加えた。

 米国だけではない。国民投票でEU離脱が決まった英国も、キャメロン首相の後任にメイ内相の就任が決定。26年ぶりに女性首相が誕生する。

 “波”は日本にも押し寄せているようだ。小池百合子元防衛相が、自民党の推薦を得ないまま東京都知事選に出馬表明。都議会自民党は増田寛也元岩手県知事を推し、タレント石田純一まで手を上げる大混乱。ハリウッド映画にならって女性が輝くことになるのかどうか――。ポスト舛添をめぐる盛夏のバトルは、大作ぞろいの夏休み映画をしのぐおもしろさとなるか注目だ。

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2016年7月12日のニュース