布袋寅泰 原動力は悔しさ…デビュー作にがく然「これが俺たちの音?」

[ 2016年6月21日 11:35 ]

音楽活動35周年を迎える布袋寅泰。原動力は「悔しさ」だと語る

 ギタリストの布袋寅泰(54)が挑戦を続けている。デビュー35周年を迎えた今年、大・小規模のさまざまなライブを精力的に開催。同時に念願の世界ツアーの計画も進め、「休日が一日もない」という多忙ぶりだ。50歳にして「世界挑戦」を掲げてロンドンに移住し、デビュー当時のような下積み生活を続けている。その原動力はビッグネームになった今も燃え盛る悔しさだ。

 元は読書好きで、人と付き合うのが苦手な寡黙な少年だった。ロックに傾倒するきっかけは中学2年。地元の群馬・高崎の楽器店に張ってあった英バンド「T・レックス」のポスターをたまたま見たことだった。

 「気持ちよさそうにギターを弾いているポスターがあまりにも衝撃的だった。ロックという音楽はそんなに気持ちいいのかって。それでロックに興味を持って、1万円のストラトキャスター(ギター)を買ったんだ」

 T・レックスやデビッド・ボウイら英国の「UKロック」に憧れ、高校時代はバンドを組んで音楽漬け。18歳の時に、地元の別バンドのボーカルだった氷室に誘われ、81年に「暴威」を結成。82年にバンド名を改名し、アルバム「MORAL」でデビューした。

 「そのデビュー作が出来上がったのを聴いて“これが俺たちの音?”ってがく然とした。それまで聴いてきたUKロックと比べて、音楽があまりにもつたない。その悔しさから、力を付けようと試行錯誤でライブを重ねた」

 ライブバンドとして実力を磨きブレークした。88年に解散するまで「忙しくてビートルズみたいだった」と振り返る。

 「ヒムロック(氷室)、まっちゃん(松井常松)、まこっちゃん(高橋まこと)、それぞれの個性が際立つバンドで相乗効果を生んだ。でもやっぱり、悔しさが一番の武器だったと思う」

 当時は仲間3人と支え合い、切磋琢磨(せっさたくま)した。今は1人だが、そばで見守ってくれる家族がいる。一緒に移住した妻で歌手の今井美樹(53)と長女(13)だ。

 「美樹さんは、僕が必ず夢をかなえると信じてくれている。娘は言葉に出さないけど、僕が雨の中、ギターを担いで家を出て行くのを見ていて、この思いを感じてくれているんじゃないかな」

 目標は世界ツアーを成功させること。そのためにUKロック発祥の地で必死に音楽と向き合っている。「僕のことを待っていて“おかえり”と言ってくれるファンを世界中につくりたい。そうやって僕のホームを増やしていきたい」。夢に向かって挑戦を続ける54歳の目は、まるで少年のように輝いていた。

 ◆布袋 寅泰(ほてい・ともやす)1962年(昭37)2月1日、群馬県生まれの54歳。BOOWY解散後の88年にアルバム「GUITARHYTHM」でソロデビュー。同年に吉川晃司とCOMPLEXを結成、90年に解散。14年にはローリング・ストーンズの東京ドーム公演にゲスト出演。嵐やコブクロ、ももいろクローバーZらとも共演。1メートル87。血液型B。

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