亜大野球部、刺傷アイドルへ祈りの千羽鶴 仲間思い…病院に届けた

[ 2016年5月25日 05:50 ]

東都大学春季リーグ・日大戦で応援席に一礼する亜大ナイン。右端が大島正克部長

 東京都小金井市で21日、亜細亜大3年でアイドルの冨田真由さん(20)が刺され重体となっている事件で、同大野球部員が千羽鶴を折り入院先の病院へ届けていたことが24日、分かった。一方、殺人未遂容疑などで送検された岩埼友宏容疑者(27)が「冨田さんに声を掛けたが、無視されたので追い掛けた」と供述していることも判明した。

 亜細亜大の経営学部経営学科に在籍する冨田さんは、会計学を専門とする大島正克教授(68)のゼミを受講していた。大島教授は同大の野球部部長を務めており、ゼミには野球部員を含めた3、4年生計50人が在籍。21日夜に大島教授から冨田さんが重体だという連絡を受けた野球部関係者がナインに状況を伝えたところ、部内から千羽鶴を折ろうという声が上がった。

 当時、野球部は東都大学春季リーグ戦の優勝がかかる大一番の前に決起集会を行っていたが、すぐに切り上げて寮へ戻った。そして、22日午前3時ごろまで鶴を折り続けた。100人超の部員の手で折られた鶴は1000羽以上となり、大島教授が23日朝に冨田さんが入院している病院に届けた。大島教授によると、付き添っている冨田さんの母親は感激した表情で「野球部の皆さん、頑張ってください」と話したという。

 亜大ナインは24日、リーグ戦に臨み、5―0で日大を下して連覇に王手をかけた。大島教授は「冨田さんは(アイドルとして)ああいう活動をしながら、ちゃんと出席して積極的な姿勢を見せてくれていた。選手たちは仲間を思いやって千羽鶴を折ってくれた」とナインに感謝した。

 大島ゼミに所属する主力の北村拓己内野手(3年)は、冨田さんとはあいさつを交わす程度だったというものの「ゼミの仲間が大変な目に遭っている。なんとか優勝の一報を届けられたら」と連覇を誓った。冨田さんは現在も意識不明の状態が続いているという。大学関係者は「みんなの思いが、回復につながってほしい」と祈るような表情で語った。

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