タレント女医初公判 9割以上がニセ患者、治療せず院長室でゲーム

[ 2016年5月12日 05:30 ]

脇坂英理子被告

 経営する美容クリニックで治療したように装って診療報酬をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた、医師でタレントとしても活動していた脇坂英理子被告(37)の初公判が11日、東京地裁(林直弘裁判長)で開かれた。

 テレビ番組に「Ricoニャン先生」として出演していた際は、付けまつげ、濃いアイラインのギャルメークだったが、この日はノーメーク。パジャマのような上下グリーンのスエット姿で、後ろで束ねた金髪の根元部分は黒くなり、「ホストクラブで一晩に900万円使った」「(男性経験は)4桁にいかないくらい」と豪語していた“美人女医”の面影はなかった。

 起訴状によると、会社役員早川和男被告(39)=同罪で公判中=らと共謀、12年11月~14年10月、千葉県船橋市の「Ricoクリニック」などで患者に治療したように装い、診療報酬計約154万円をだまし取ったとされる。

 裁判長から職業を聞かれた脇坂被告は「医師です」と小さな声で答え、罪状認否では「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で「ホストクラブで散財するなど借金を重ねた。クリニックを開院したが患者が集まらず診療報酬の水増しや架空請求を始めた」と指摘。「来院者の9割以上が(患者を装った)紹介患者で、被告は来ても対応をスタッフに任せ、院長室でゲームをしていた」との看護師の供述調書も読み上げた。

 情状証人として出廷した脇坂被告の母親は毎月、クリニックの運営資金に困っていると相談され、合計4000万円を渡したことを明かした。

 今後は交友関係と金銭を管理するといい「子供みたいだけど、お金が必要な時に小遣いを渡すようにする」と断言。最後に「反省して立ち直ってほしい。親としては絶対に見放しません。私が死んだら妹が面倒を見ます」と話すと、脇坂被告はうつむき、ハンカチで涙を拭った。

 ◆診療報酬詐欺事件 警視庁組織犯罪対策4課は昨年11月、通院患者の診療回数を水増しするなどして自治体から診療報酬や医療費をだまし取っていたとして、指定暴力団住吉会系組長の三戸慶太郎被告らが逮捕・起訴された。一連の事件で、逮捕されたのは接骨院元経営者や歯科医院の元院長ら20人以上。不正受給総額は数億円規模で、一部が暴力団にも流れていたとみられている。大手芸能プロのお笑い芸人も患者役として関与しており、芸能界にも波紋を広げた。

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2016年5月12日のニュース