「金八」プロデューサー柳井さんお別れの会に武田鉄矢、上戸彩ら

[ 2016年3月30日 18:04 ]

柳井満さんお別れの会で囲み取材に応じ、目を潤ませて思い出を語る武田鉄矢

 人気ドラマ「3年B組金八先生」などを手掛け、先月1日に胸部動脈瘤(りゅう)破裂のため亡くなった元TBSのドラマプロデューサー柳井満(やない・みつる、享年80)さんのお別れの会が30日、横浜市の緑山スタジオのM4スタジオでしめやかに営まれた。

 柳井さんの81回目の誕生日にあたるこの日、発起人にも名を連ねている俳優の武田鉄矢(66)、名取裕子(58)、陣内孝則(57)をはじめ、女優の上戸彩(30)、高畑淳子(61)、俳優の浅野忠信(42)ら約500人が故人を偲んだ。

 柳井さんとは正月にゴルフをし、その2日後には新年会でもともに過ごした武田。突然すぎる訃報に「心の整理がつかないでポカンとしていた。正月一緒に遊んだんだもん。そりゃびっくりするよ。体が弱るとか全然なかったから」とがく然。ただ、最後の姿は「ご機嫌で、笑顔の残像しかない」といい、「残念ではあるけど、笑顔のみでお別れしたのは不幸なお別れではなかったのかなと。柳井さんらしい」と話した。

 壇上のあいさつの最後では「私が今日あるのはあなたのおかけです。ありがとうございました」と声を詰まらせながら、メッセージを送った。「最後に何を言おうかなと思いを巡らせたけど、1番正確なお別れの言葉かもしれないと思った」とその思いを明かした。

 会場には多くの“教え子”たちも詰めかけた。「長いことやっていたので教え子が膨大にいる。子どもたちがよく集まっているので、半分同窓会みたいなものですね」。そんな教え子たちと一緒に毎年春には柳井さんを囲んで桜を見る会をやっていたといい、「来年からは柳井さんがいらっしゃらない。自分が会で大事にされるじいさんになっていこうかなと。(生徒の一人が)3年B組の仲間に会うと15の自分に戻れると言っていた。そういう彼ら、彼女たちを15歳に戻れる御札としての存在を柳井さんに変わってしっかり務めないといけない」と神妙に語った。

 「金八先生」では第1シリーズの「15歳の母」、第2シリーズの「腐ったミカンの方程式」はまさに伝説として語り継がれる回が生まれた。「おなかの中ではこんなこと言わないほうがいいじゃないかとは思っていた。抗議の電話がすごくて、嫌だった。本当はオロオロしていた」と当時の心境を回顧。そんな時に柳井さんは「静かに笑って、意外とそういう電話が多い時って数字がいいだよって」と言ったといい、「嫌な考え方するなと思ったし、悪魔のつぶやきだって思った。ドラマのK点超えを感じたんだろうけど、やっている本人は気付きはしない。(柳井さんは)微笑みの凄みがある人だった」と振り返った。

 武田にとって「金八先生」は「金八って作品を持っている限り、運命に対してついてなかったとは決していえない、それぐらい大きい作品」。そして「やっている最中は早く終わりたかったけど、最後まで終わるとこの役がやりたかったんだと思った。まさしくやりたい役だったんでしょうね」としみじみ。「今でも金八先生を尊敬しています。あの人はいい人です。そして、私とは違います、だからあの人はいい人なんです」と柳井さんと作り上げた最高の教師像への思いで締めくくった。

 お別れの会では、武田、陣内、名取、高畑のほか、テレビプロデューサーで演出家の石井ふく子氏(89)、俳優の鶴見辰吾(51)、安田成美(49)、竹下景子(62)、星野真里(34)、橋爪功(74)、岸田敏志(62)、さとう宗幸(67)らがあいさつを行った。

 柳井さんは東大文学部卒業後、1958年にラジオ東京(現TBS)入社。ドラマ畑一筋に歩み、79年からスタートした金八先生シリーズを、脚本家の小山内美江子さん(86)と二人三脚で2011年の「3年B組金八先生ファイナル」までの全作を手掛けたほか、長渕剛(59)主演の「とんぼ」「家族ゲーム」などもプロデュースした。

 <主な参列者>陣内孝則、石井ふく子、武田鉄矢、名取裕子、さとう宗幸、浅野忠信、金田明夫、村田雄浩、上戸彩、福田沙紀、中尾明慶、野村義男、前田吟、高畑淳子、橋爪功、上條恒彦、吉行和子、長山藍子、岸田敏志、岩田さゆり、加藤シゲアキ、増田貴久(以上NEWS)、八乙女光、薮宏太、岡本圭人(以上Hey!Say!JUMP)、佐野史郎、浅田美代子、三原じゅん子、田山涼成、山崎静代(南海キャンディーズ)、竹下景子、安田成美、星野真里、佐野泰臣(順不同、敬称略)

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2016年3月30日のニュース