吹越満「ダメ人間」に憧れ芝居の世界へ 型にはまらぬ生きざま

[ 2016年2月21日 11:37 ]

社会における自身の存在を保つためサングラスと帽子を愛用する吹越満

 気弱な役からひと癖ある役まで自在に演じる俳優・吹越満(51)。最近は連続ドラマで企業や組織の中間管理職役が多いが、社会から外れた「ダメな人間」への憧れを抱いて劇団に入り、俳優人生をスタート。女優の広田レオナ(52)と離婚し復縁した“元サヤ婚”でも話題になり、生きざまも型にはまらず個性的だ。

 グレーがかった色つきメガネとハット姿。そのスタイルへのこだわりを「色の付いたメガネをして働いてる会社員っていないでしょ。仕組みや組織から外れていることに憧れて、その記号として東京に出てきてからずっと掛けていたから、ないと外を歩くときにバランスが取れなくなるんです」と説明する。シャイな性格なのだろう。「要は格好つけてるだけなんですけど」と付け加えると、メガネの奥の目が照れ笑いした。

 地元の青森県で大学浪人中に上京を決意。「役者になると決めていたわけではなくて、社会から外れてドロップアウトしてる雰囲気や人物に憧れがあっただけ。どうやったらダメな人間でいられるかと考えて、お芝居の世界の下積みという時間が僕のイメージしているのに近いんじゃないかと気がついたんです」。両親には反対されると考え「学校の先生になるから」とうそをついた。

 84年7月に上京し、劇場に足を運ぶうちに「ワハハ本舗」の旗揚げ公演を見て入団。下ネタやコント、擬音を付けながら「ロボコップ」の一人芝居をする「ロボコップ演芸」などのパフォーマンスで人気になった。

 「お金を持ってないのになぜか酒が飲めたり、バイトをずる休みしたり」と念願の“ダメ人間”生活を満喫。一方、笑いを追求する劇団で「何か面白いこと考えたのか。やってみろ」と鍛えられた日々は「想像を超えて大変だった」と振り返る。「ここで辞めたら格好悪いなと、ただそれだけで続けていたけど、“全然つまんない”と言われ続けた時間は財産だったと思います」

 24歳の時にテレビの演芸番組に出演し賞金100万円を手にしたこともある。「ちゃんとしたところに引っ越せるのに、共同玄関で3畳間のアパートに19歳から6年間住んでた。そういうダメなところも気に入ってました」。100万円の使い道は「知らない間になくなってました。お金がないときに“おまえはいいよ”と誰かがなんとかしてくれていたから、その逆をやったり。格好つけて大人みたいなことをしてみたかったのかな」と懐かしそうに話した。

続きを表示

2016年2月21日のニュース