王将戦“もう一つ”の見どころ 将棋とかけ離れた「勝者の写真」

[ 2016年2月2日 09:36 ]

王将戦第2局に勝利した羽生名人(右)は一夜明け、安来節名人の一宇川勤氏とともに踊りを披露

 1月から熱戦が繰り広げられている将棋の第65期「王将戦7番勝負」。今期は郷田真隆王将(44)に、羽生善治名人(45)が挑戦しており「同世代対決」と注目を集めている。

 7大タイトルの一つで伝統ある王将戦には、ほかの棋戦とはちょっと“違う”見どころがあることで知られている。それは、対局翌日に撮影される「勝者の写真」だ。ファンはもちろん、羽生も「王将戦はいろいろな写真を求められますからね(笑)」(将棋世界2月号)と語っており、棋士の間でも伝統となっている。

 さて、どんな写真なのか?

 棋士といえば、眉間にしわを寄せ、苦悶(くもん)の表情で熟考する姿をイメージする人も多いだろうが、スポニチの写真はかなりユニーク。今期では、第1局を制した郷田は静岡県掛川市内にある幼稚園を訪問し、ブランコに乗り園児と会話をする様子をパチリ。また、島根県安来市での第2局に勝利した羽生は、ご当地名物“安来節”に挑戦してもらった。

 これまでも「パティシエ」に扮(ふん)してロールケーキを作ったり、「露天風呂」に入ってもらったりと、将棋とはかけ離れた棋士の姿が掲載されている。共通しているのは「ファンに喜んでもらいたい」「開催地の話題になれば」という気持ちから。対局者には快く(?)引き受けていただいているので、本当にいつも頭が下がる。一方、撮影するカメラマンも先輩カメラマンたちからプレッシャーをかけられており、“ネタ”探しにひと苦労。ネット上では「勝者の罰ゲーム」などとの書き込みもあるが、あくまでも「勝者の写真」だ。

 いつごろからの恒例なのかと先輩記者に尋ねてみると「羽生にウナギを持ってもらった」ことだという。調べてみると、第52期(2003年)第1局で佐藤康光王将(当時)に勝利した際、ウナギと格闘している羽生の姿を発見。これか!と思っていたが、先日、35、36期(85~86年)に王将だった中村修九段が「オレは雪かきしたなぁ」と証言。もっと歴史があるのかもしれない。

 注目の第3局は4、5の両日、栃木県大田原市で行われる。対局はもちろん、どんな「勝者の写真」になるのかもお楽しみに。(記者コラム)

続きを表示

2016年2月2日のニュース