【真田丸】三谷大河船出 正攻法の中に笑いも 草刈正雄◎

[ 2016年1月10日 08:00 ]

大河ドラマ「真田丸」第1話の1場面(左から堺雅人、草刈正雄)(C)NHK

 俳優の堺雅人(42)が主演を務めるNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)は10日、58分の拡大版(通常45分)でスタートする。ヒットメーカー・三谷幸喜氏(54)が「新選組!」(2004年)以来、2度目となる大河ドラマの脚本を担当。TBS「半沢直樹」などの視聴率男・堺とのタッグとあり、大河復権が期待される。

 大河ドラマ55作目。戦国時代最後の名将・真田幸村=本名・真田信繁(のぶしげ)の生涯を描く。タイトルの「真田丸」は大坂冬の陣(1614年)で、信繁が築いた最強の砦。同時に、家族の物語として一艘の船に例えた。

 第1話は「船出」。天正10年(1582年)2月。名将・武田信玄(林邦史朗)の急死から9年、武田家は当主・勝頼(平岳大)の下、絶体絶命の危機を迎えていた。重臣の裏切りをきっかけに織田信長(吉田鋼太郎)の大軍勢が領内に侵攻。諸城が次々に陥落する事態に陥る。

 武田に使える真田昌幸(草刈正雄)は上野国にある自らの居城・岩櫃城で織田を迎え討つよう進言し、準備のため一足先に出発。残された昌幸の息子、兄・信幸(大泉洋)弟・信繁(堺)を、勝頼が人目を忍んで訪れ「岩櫃には行かない」と告げる。甲斐の岩殿城へ逃げる武田の本隊と別れ、父の待つ岩櫃に向かう兄弟。敵が目前に迫る中、家族を守りながらの決死行が始まる…。

 昨年12月中旬に東京・渋谷のNHKで行われた初回完成試写会で、場内が一際ドッと沸くシーンがあった。

 「武田は大丈夫か」と真田一家が居間に集まり、心配する。大黒柱・昌幸は妻・薫(高畑淳子)や娘・松(木村佳乃)たちと一緒にいる時と、自分と息子たちの3人だけになった時で“別の顔”になる。そのギャップを生む三谷氏の筆、見事なカット割り、昌幸役の草刈の好演が相乗し、思わず吹き出した。 

 数々の名作喜劇・コメディーを生み出した三谷氏だが、制作統括の屋敷陽太郎プロデューサーは「人間の必死さの中にあるおかしみ。そういう面は第2話以降もあると思いますが、あえて笑いを狙うつもりはありません」と解説した。

 草刈といえば、2014年に三谷氏作・演出の舞台「君となら」で軽やかな演技を披露したのが記憶に新しい。今回も知略軍略に優れた天才武将ながら、どこか飄々した昌幸を好演。序盤は草刈がキーマンになりそうだ。

 大泉と堺の兄弟の配役はパブリックイメージからすると逆だが、これもキャスティングの妙。武将の勢力図を歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」風に示すCGもユニーク。「信長の野望」などを手掛けたシブサワ・コウ氏が「3D地図監修」に名前を連ねる。

 演出は大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」「義経」、連続テレビ小説「どんど晴れ」「梅ちゃん先生」「ごちそうさん」などの木村隆文氏。正攻法で「愛と勇気に満ちあふれた冒険娯楽活劇」を目指す。

 初回完成試写会に出席した堺は「どんどん領地を増やす右肩上がりの大名の話じゃないですよね。武田の滅亡という終わりから始まる話。見方を変えれば、あまり元気の出るような話じゃないというか。そのイケイケドンドンの話じゃないところが、すごくおもしろいと思っています。迷いながら悩みながら、いろいろな価値観を共存させて前に進む。騙し騙しの感覚というんですかね。それが『真田丸』の魅力になると思っています」と見どころを解説した。

 初回、信繁は15歳。その長い「航海」を見守りたい。

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