「マッサン」エリー 「シカゴ」で涙のブロードウェー凱旋

[ 2015年11月2日 05:33 ]

シースルーの衣装で熱演するシャーロット・ケイト・フォックス

 NHK連続テレビ小説「マッサン」でヒロインを演じた女優シャーロット・ケイト・フォックス(30)が10月31日、米ニューヨークのアンバサダー劇場でロングラン上演中のミュージカル「シカゴ」に主演し、ブロードウェーデビューを果たした。外国人初の朝ドラ主演に続き、母国での悲願成就。日本での成功を足がかりにアメリカンドリームをつかみ、「この場に立てるなんて信じられません」と目を潤ませた。

 米国ではまだ無名新人なのにカーテンコールでスタンディングオベーション。共演者からバラの花束を手渡され、「デビュー公演なのに凄くいい芝居。日本で大スターになって、こうして戻ってきてくれました!」と紹介されると、喝采はさらに高まった。米国人客中心の約1000人にシャーロットは投げキスし、喜びを爆発させた。

 たどたどしい日本語が逆に共感を呼んだ「マッサン」とは違い、セリフは全編英語。しかも歌って踊る。衣装は胸元や背中がシースルーのミニ。脚線美が悩ましい。色気を武器にのし上がるダンサー役で、頭髪は赤茶色でカール。人妻なのに、浮気した愛人男性を銃殺する激しい女性ロキシーを約2時間15分にわたって熱演。終演後の取材に「ここに立っていることが信じられない。感謝と興奮、さまざまな思いが込み上げてきます。できたー!!って。これ以上、今の気持ちについて質問されたら泣きだしちゃいそう…」と言葉を詰まらせた。

 15歳から歌を習い、ダンサーなどで活動しながら本格デビューの機会を待った。なかなか芽が出ず、米国からNHKのオーディションに応募。右も左も分からない異国で日本人の夫を支える姿が支持された「マッサン」が2月19日にクランクアップした後、今回の役作りに入った。ニューヨークでは3月16日から稽古を開始。その後、日米間を往復し、大澄賢也(50)らの指導も受けた。「日本で演じたエリーは声を小さめにと要求されました。今回は米国人らしい大きな声。その調節が難しかった」という。

 ブロードウェー作品では「オペラ座の怪人」に続く歴代2位の通算7874公演目。9月から女優デミ・ムーア(52)の娘ルーマー・ウィリス(27)が演じてきた役を引き継いだ。共演陣からは「歌もダンスもアイコンタクトも度胸もある。リズム感も良くて凄くやりやすい」との声も。

 朝食後に本を読み、ホテルから1人で歩いて劇場入り。世界中の俳優が夢見る舞台に立ち、故郷ニューメキシコ州からも父母や親族ら55人が集まった。15日まで計17公演に出演後、日本公演に臨む。「日本の皆さん、久しぶりです。もっと練習し、勉強してから日本に戻ります」と日本語で話し、とびっきりの笑顔を見せた。

 ▽「シカゴ」 1920年代、ジャズが全盛だった禁酒法時代のシカゴが舞台。獄中で女性ダンサー同士が張り合う様子を軸に、司法や政治の腐敗を風刺。大掛かりな仕掛けはなく、俳優陣の演技力、歌唱力とビッグバンド演奏で物語に引き込む。96年10月23日からブロードウェーで劇場を替えながらロングラン。03年からのアンバサダー劇場は3劇場目。ロキシー役はブルック・シールズ、アシュレー・シンプソン、米倉涼子も演じた。

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