時任三郎 デビュー35年の“役者魂”「永遠の初心者でいい」

[ 2015年9月20日 11:00 ]

カメラに向かい、爽やかな笑顔を見せる時任三郎

 「24時間戦えますか」と歌ったCMで一世を風靡(ふうび)してから四半世紀。俳優の時任三郎(57)はバブル期に企業戦士の象徴になったが、素顔は子育てのためにニュージーランドに一時移住した元祖イクメンだ。今年はデビュー35年。私生活での経験は父親役で生かされ、肩肘張らない「行き当たりばったり」の人生を楽しんでいる。

 1メートル88の長身でダンディーなハスキーボイス。硬派で近寄りがたいイメージがあったが、対面すると気さくでチャーミング。若い女性タレントから理想の男性として名前を挙げられることも多く、そう伝えると「ありがとうございます」と照れ笑いしながら頭をペコリ。目尻を下げ白い歯を見せる笑顔は少年のようだ。

 医師、航空管制官、海上保安官など、どんな役を演じても優しさがにじみ出る。テレビ朝日のドラマ「所轄魂」(20日後9・00)では、キャリア管理官の息子と共に事件を追う所轄の刑事役。息子を遠くから見守りながら、信念を持って捜査するベテランで「これぞ刑事ものという王道の内容。謎解き部分が柱なので、事件を解決していく案内人の役目に徹しました」と楽しんだ。

 大阪市立工芸高校から大阪芸術大学デザイン学科に進学し工業デザインを専攻。入学直後、演劇サークルの実演に引かれ入部した。「何かを作ったり描いたりするのは好きだけど、何になりたいというのはなくて、目の前にある好きなことだけをチョイスしてきた。初めて芝居を経験して面白いなあと思いました。デザインは紙や筆や画材があって初めて成立するけど、芝居は何もなくても表現できる。そのダイレクトさが楽しい」

 俳優を志し、2年半で大学を中退して上京。80年にロックミュージカル「HAIR」でデビューし、社会現象になったドラマ「ふぞろいの林檎たち」(TBS)などで人気を博した。俳優生活35年。「全然成長してないと感じるけど、逆に永遠の初心者でいいかな。場慣れだけで仕事をこなすようにはなりたくない。新しい現場に入ったら初心者のつもりで初心に帰って芝居をします」。謙虚な言葉に“役者魂”がこもっていた。

 ◆時任 三郎(ときとう・さぶろう)1958年(昭33)2月4日、東京都生まれの57歳。81年に「虹色の森」でドラマに初出演し、挿入歌「川の流れを抱いて眠りたい」でレコードデビュー。「リゲイン」のCMで「牛若丸三郎太」に扮して歌った「勇気のしるし」は約80万枚を売り上げた。主な出演作は映画「海燕ジョーの奇跡」(84年)や「海猿」シリーズ、ドラマはフジ「Dr.コトー診療所」シリーズやNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(11年)など。

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