「浦沢直樹の漫勉」Eテレの画期的試みに9割近くが満足

[ 2015年9月11日 15:00 ]

NHK Eテレ「漫勉」の案内役を務める浦沢直樹氏

 NHK Eテレが「学ぶ」という視点から、新たな試みの番組と話題なのが「浦沢直樹の漫勉」(金曜後11・00、9月に4回放送予定)だ。人気漫画「YAWARA!」「20世紀少年」など多くのヒット作を世に生み出している浦沢氏がプレゼンテーターで「日本の漫画家のペン先を、世界に届ける。」がテーマのドキュメンタリー番組。最新の機材を用いて漫画家が操る“ペン先”を細部まで撮影、よくある生活風景や生い立ちを追うのではなく、漫画家それぞれで違う描くスタイルとそのペン先を克明に映し出す画期的な試みだ。

 番組はゲスト漫画家と浦沢氏の対談形式となっており、事前に撮影した作画風景をともに鑑賞、些細な描き方の違いや、共感できる部分を語り合う。プロ同志だからこそ分かり合える葛藤や思いを垣間見ることも興味深いが、何より真っ白な紙に美しい線が引かれ、ドラマが紡がれる過程をじっくり観察できるため、トークや説明のナレーションがなくても映像の力で視聴者を引き付けることに成功している。

 データニュース社(東京)が行っているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」(対象3000人)によると「海月姫」「主に泣いてます」の漫画家・東村アキコ氏をゲストに迎えた第1シリーズ第1回(9月4日放送)の視聴者満足度は4・29(5段階評価)で、視聴者の86%が4以上をつける高評価。「漫画家の秘密を見たようでおもしろかった」(34歳・女性)「リアルな取材で漫画家の裏側が見れた」(44歳・男性)「漫画は普段まったく読まないが、漫画家独特のこだわりに、なぜか引き込まれた」(55歳・男性)」など、漫画の好き嫌いに関係なく、漫画家という仕事に対しての敬意がうかがえるコメントが相次いだ。

 浦沢氏は「漫画は絵を描いているのではなく、登場人物の演技表情を線に起こしている」という。何気ない1コマであっても、何一つ無駄はない。漫画家志望はもちろん、プロフェッショナルの仕事とは?ものを生み出すとは?を日々考えている人々なら共感できる部分が見つかりそう。仕事人の真剣勝負が伝わる44分だ。

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2015年9月11日のニュース