長渕、堀北、上地…予感が現実となった“嵐の3時間”

[ 2015年8月25日 09:15 ]

「10万人オールナイト・ライブ」で、上空を周回したヘリから降りステージへ向かう長渕剛

 8月22日、記者は長渕剛(58)の10万人オールナイトライブの取材で富士山麓に向かった。午後5時すぎ、新人記者とともに現地に到着。ステージ裏に用意されたプレハブの記者控え室に入ると、他社の長渕好き先輩記者が「タフな取材になるよ」とギラギラしていた。この後の“嵐”を予感していたのだろうか。

 開演を1時間後に控えた午後8時前、1面級の一報が入ってきた。“スキャンダル処女”堀北真希(26)の結婚だ。所属事務所の担当者が電話で「きょう籍を入れました。8時に報道各社にファクスします」と知らせてくれた。ノーマークだっただけに衝撃を受けた。

 原稿の締め切り時間が迫っていたため、急いでデスクに電話を入れた。しかし、つながらない。ライブの開演を待ちながら何万人もの観客が電話やメールをしており、近くの基地局の回線が大混雑しているのだ。

 10分間かけ続けようやくつながって報告すると、デスクから「原稿書くか?追加取材できる?」と聞かれた。開演時間が迫っていることから後者を選択。しかし、電波が極度に悪い状況での電話取材は難しく、結局、両方とも別の記者がやってくれた。

 午後8時半、控え室から公演会場へと移動した。開演直前には、長渕を乗せたヘリコプターが上空を低空旋回し、否が応にも期待が高まる。そして午後9時、長渕がヒット曲「JAPAN」を歌い出すと、しばらくして後輩記者から着信が入った。開演と同時に電話回線の混雑が解消されたらしい。大歓声の中で出られないでいると、LINEで「上地雄輔が入籍したらしいんです」「福岡公演で発表してるそうです」と報告があった。

 なにせ締め切り時間が迫っている。近くにいた新人記者に「長渕の一挙手一投足を見てメモっておいて」と指示し、メールを使って上地の取材を開始した。周囲のファンがステージに向かって拳を突き上げる中、うつむいてスマホをいじり続けた結果、ようやく得たのは「御社の先輩に伝えたよ」という関係者からの返信。会社にいた記者が、その先輩記者から情報を伝え聞いて記事にした。

 この時、午後10時ごろだった。2回目の締め切りまでに、長渕のライブ記事を入稿する予定になっているため、新人記者からこれまでの様子を聞き取り、「何かトピックスになりそうな言動があったらメールして」と、会場に残るよう指示して記者控え室に戻った。

 記事を書いていると、今度は午後11時にデスクから「そっちでヘリコプター事故ってあった?けが人が出ているみたいなんだけど」と電話。共同通信社から一報が流れたという。

 ヘリの演出だけはしっかりと見ていたつもりだ。「ちゃんと着陸していましたよ」と返すと、どうやらヘリがホバリング(空中停止)した時の風圧で救護用テントが倒壊したらしい。確かにヘリはステージから最後方の位置でホバリングをしていた。新人記者に指示して現場に行かせると、テントは壊れ、警察が近くに規制線を引いていた。

 その周囲を取材した新人記者から目撃情報を吸い上げ、無事、締め切り時間内に入稿し終えた。堀北の結婚から始まった“嵐の3時間”。振り返って思い出すことは、ほとんどすべての取材・出稿を先輩、後輩に任せていたにもかかわらず、「疲れた~」と大きなため息が出たことだ。 (8月25日付、芸能記者コラム)

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