あれから30年 坂本九さん墓前で柏木由紀子と大島花子「長いようで短いよう」

[ 2015年8月13日 13:05 ]

故・坂本九さんの墓前に手を合わせる長女・大島花子(左)と妻・柏木由紀子

 日航ジャンボ機墜落事故から30年を迎えた12日、事故で犠牲となった歌手・坂本九さん(享年43)の妻で女優柏木由紀子(67)と、長女で歌手の大島花子(41)が今年も墓前に手を合わせた。スポニチ本紙の取材に「長いようで短いよう」と30年を振り返り、坂本さんへの思いを語った。

 東京都港区の長谷寺。坂本さんの墓前には手を合わせる柏木と花子の姿があった。来月出産を控えた、次女で女優の舞坂ゆき子(38)は欠席したが、毎年8月12日は家族3人そろって墓参りするのが恒例だ。

 普段着姿の花子は「私にとっては、元気に過ごせていることを考える日。3人でご飯を食べて、いろんな話をして笑顔で過ごす。普段と変わらないような一日にしたいんです」と語った。この時期が近づくと、テレビでは墜落映像が流れる。11歳の時に突然の事故で父親を亡くした心の傷を、取り去ることはいまでもできないようだ。

 柏木はこの30年について「(事故は)ついこの前のようです」と話し、「ただ、自分の年齢、娘たちの年齢を考えると、いろいろなことがたくさんあったと30年の重みを感じています」と振り返った。夫の死と向き合えるようになったのは「10年前ぐらいなんです」と明かした。

 花子は父親と同じ歌の道に進んだ。亡くなった坂本さんと同年代となり、より近くに感じられるようになったという。「歌っていると父が見守ってくれているという気がするんです」。きっかけは約5年前、坂本さんが自分の父親を思いながら作詞・作曲した「親父」を歌った時だった。「命の大切さや日常の素晴らしさを感じられるようになった。何げないことが大切というメッセージを、歌で伝えていきたい」と力を込めた。

 6年前にママになった。「息子も“じいじはお星さまになって見ていてくれるんだよね”って言うんです。父の存在を感じてくれているようです」とうれしそうに話す。

 昨年12月にリリースした初アルバム「柿の木坂」に「親父」を収録した。29日に行う東京都新宿区の「音楽の友ホール」でのコンサートでも披露する予定。

 家族を失い、悲しむ人を支える「グリーフケア」という活動も始めた。東日本大震災の被災者にも寄り添う。「悲しみに終わりはない。でもそれを自分の一部として受け入れて愛していきたい」。それが、30年かけて出した花子の答えだ。

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