矢野誠一氏、加藤さんを悼む…真っ正直な江戸っ子 大声だから内緒話できず

[ 2015年8月2日 08:15 ]

加藤武さん死去

 麻布中学時代、卒業しているのに文化祭を仕切っていたのが加藤さん、故小沢昭一さん、故フランキー堺さんたちだった。彼らの舞台を見たけど、加藤さんよりも小沢さんやフランキーさんの方が目立っていたのを覚えている。それ以来、60年以上の付き合いが続いていた。

 東京・築地のマグロ仲買人の息子でべらんめえ調の江戸っ子。真っ正直で表裏がなくて、嫌なことがあると露骨に嫌な顔をする。大声で話すから内緒話ができないし、如才なく立ち回って偉くなるのは大嫌い。年1回の「東京やなぎ句会」で顔を合わせると、いつもバカ話ばかり。最後に会ったのは7月17日、その句会の席だった。

 会の最長老のくせに、加藤さんが一番元気。あそこが悪い、ここが痛いだの病気の話なんかしたことはないし、神宮周辺を走ったりするなど、健康にもの凄く気をつけていた。新しい健康器具が出ると、すぐに買い入れて能書きを言うくらいだった。

 良き先輩が次々と亡くなっていく。なんか、寂しいな。(演劇評論家・矢野誠一氏)

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2015年8月2日のニュース