直木賞作家・高橋治さんが死去 「風の盆恋歌」「秘伝」

[ 2015年6月15日 17:24 ]

86歳で死去した高橋治さん

 小説「風の盆恋歌」や「秘伝」で知られる直木賞作家の高橋治(たかはし・おさむ)さんが13日午前8時16分、肺炎のため神奈川県の自宅で死去した。86歳。千葉市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻留美子(るみこ)さんと長男文月涼(ふづき・りょう)氏。

 1953年に松竹に入社し、小津安二郎監督「東京物語」などの助監督を経て映画監督としてデビュー。65年に退社した後は、演劇作品の作・演出を手掛けた。

 シベリア出兵をテーマにした記録文学「派兵」や、小津監督の作品と人生を描いた「絢爛たる影絵」などを執筆。年老いた釣り師2人が秘術を尽くして巨魚に挑む「秘伝」で84年に直木賞を受賞した。

 富山市八尾町の「おわら風の盆」に材を取った恋愛小説「風の盆恋歌」(85年)がベストセラーに。88年に「別れてのちの恋歌」と「名もなき道を」で第1回柴田錬三郎賞、96年には沖縄を舞台にした長編小説「星の衣」で吉川英治文学賞を受賞。人間への深い洞察を含んだ幅広い作風で知られた。

 行動派の作家としても知られる。88年には石川県に「白山麓僻村塾」を開き、環境問題に対する発言も積極的に行った。

 昨年のベネチア国際映画祭クラシック部門では、監督デビュー作「彼女だけが知っている」(60年)が上映された。

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2015年6月15日のニュース