欽ちゃん ダービーを語る…馬主で体験「ステージでもない興奮」

[ 2015年5月26日 11:10 ]

夢を体現し希望を与え続ける萩本欽一
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 31日に東京競馬場で行われる競馬の祭典「第82回日本ダービー」は、競馬ファンのみならず多くの人々を魅了する。芸能界では、萩本欽一(74)が古希を過ぎて大学合格というロマンを実現させた。馬主としてダービーに参戦した経歴も持つ欽ちゃんに、サラブレッドの夢舞台の魅力を“ドンと”語ってもらった。

 「3文字で呼べる馬を買うのがオレの買い方。今年だとどれかな?」。そう言って皐月賞馬のドゥラメンテでなく、同2着のリアルスティールをチェック。「青葉賞を勝った馬は強いんだ」と、レーヴミストラルも気にかけた。ところでなぜ3文字?「だって、勝ったときコールしやすいじゃない。ダービーは、勝って名を呼んでもらえる馬が伝説になるんだよ」

 競馬に関わる誰もが憧れる夢舞台。欽ちゃんも立ったことがある。時は38年前の1977年5月29日。所有馬「パリアッチ」は最終コーナーを回って先頭集団にいた。28頭中18番人気。スターホースではない。番狂わせなるか。地鳴りのような歓声。「驚いた。ひざがガクガクして立ち上がれない。あの興奮ったらステージに出てもない」

 ひょっとしたら、勝っちゃうんじゃ――。血潮がたぎり、へその辺りがむずがゆくなる。「でもそう思ったのは、3秒くらいでしたね」。瞬く間に馬群に埋没。1度きりのダービーは9着で終わった。あまたの栄光に包まれた昭和の喜劇王は、それでも「人生の誇りです」と顔を上気させる。

 「9着から賞金が出なかったんだけど、お金じゃないんだよ。出られるだけでロマンだよ」

 今でも、ダービーの日が来ると馬券を買ったり「欽ちゃんファミリー」で集まってテレビ観戦するという。「お祭りだからね。あれだけ人を興奮させたり喜ばせるというのは、いろんな遊びの中で一番じゃないかな」

 その魔力を説明すべく欽ちゃんはダイシンボルガードが勝った69年のレースを挙げた。「厩務員さんが“オレの馬が勝ったー!”ってターフに駆けだしたんだ」。3頭での激しい叩き合いが繰り広げられたゴール前。石田健一厩務員が係員の制止を振り切り手を振って応援。レース後に厳重注意処分される騒ぎになったが、その姿に心打たれた観衆は拍手を送った。

 「分かるよ、あの気持ち。馬に携わる人間がどれだけダービーというレースに笑い、泣き、感激しているかを証明したんだ」。その人間ドラマこそが、ダービーの替え難い魅力だと力説する。

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