「IPPON」お題作成“秘話” 大衆性&独自性で2000問→20問

[ 2015年5月20日 09:40 ]

大喜利の祭典「IPPONグランプリ」は独特のお題も楽しみの1つ。本番20問は2000問の中から選ばれる

 年2回の大喜利の祭典、フジテレビ「IPPONグランプリ」は23日午後9時から第13回大会が放送される。名勝負が生まれるかどうか、大きなカギの1つを握るのが「お題」。1大会で用意される約20問は半年がかり、約2000問の中からふるいにかけられる。番組の演出を手掛ける竹内誠プロデューサーが問題作りの“裏側”を明かした。

 「お台場笑おう会」から招待された10人の芸人がA・Bブロック5人ずつに分かれ、さまざまなお題に回答。Aブロックの審査はBブロックの芸人が行う。採点ボタンは1人2個。5人全員が2個のボタンを押し、合計10点満点になると「一本」。各ブロック4問(1問につき制限時間7分)出題され、一本の数を競う。両ブロックの一本最多獲得者が決勝(審査は残る芸人8人、16点満点)で激突。「芸人大喜利王」を決める。

 番組は2009年12月に深夜枠でスタート。第5回(11年6月)から「土曜プレミアム」枠、年2回放送が定着している。

 大会終了後、次の大会への準備が始まる。3~4時間の「問題会議」を何と毎週行い、放送作家、プロデューサーやディレクターら約20人が頭をひねる。考え出される問題は、合計約2000という途方もない数に及ぶ。

 「会議室で考えるだけでは浮かばないこともあるので、わざと外に出て」(竹内プロデューサー)刺激を受けることも。図書館をはじめ、東京・神保町にある「かるた専門店」や漫画専門古書店「まんだらけ」などに足を運んだ。

 2000問を50問に絞った後、大会チェアマンを務める「ダウンタウン」の松本人志(51)が最後の問題会議に2~3回、出席。番組スタッフとともに、本番用の20問に念入りに仕上げる。

 竹内プロデューサーは、お題の採用基準について(1)「視聴者の方が一緒に考えられ、答えやすい問題」(2)「他の番組では出さないような問題」へのこだわりを挙げた。

 (1)の代表例は、第2回(10年3月)Aブロック第2問「ファミリーマートの入り口で流れるこの音に歌詞をつけてください」。竹内プロデューサーは「ファミリーマートの音は、視聴者の皆さんも聴いたことがあると思うんです。お題作りはコアな方向に行きがちなので、皆さんが関心を持てる問題は、テレビを作る上で大切だと思っています」と語る。

 (2)の代表例は、第11回(14年5月)Bブロック第3問「フジテレビに声をかけてあげてください」。同局の視聴率苦戦をフリにした“自虐”問題で、松本チェアマンも「エッジの効いた問題ですよね。ピリ辛問題ですよね」とニヤリ。Aブロックのバナナマン・設楽統(42)は「これが大喜利の問題ですかね」と思わず声を上げた。

 「一瞬おもしろそうな問題でも、実際に答えを考えた時、浮かぶ数が少ないものは、本番に適していないと言えます。そのあたりは、フリップ大喜利の生みの親で、プレーヤーの気持ちが分かる松本さんの選球眼を頼りにしています。1つの方向にしか行けないお題だと、どれほど優秀な芸人さんたちが解いても、その方向にしか行きません。芸人さんそれぞれの解釈が多く生まれるものほど、いいお題だと思います」と竹内プロデューサー。問題の“質”が大会の盛り上がりを左右すると言っても過言ではない。

 事実「フジテレビに声をかけてあげてください」の問題は、ピース・又吉直樹(34)がテレビ局を擬人化し「来週、日テレの家で鍋するけど来る?」とひねり出すなど、多様な答えが見られた。

 16日に放送された予選番組「IPPONスカウト」で、本戦お題の一端が明らかに。「せっかく完成した透明人間になる飲み薬。あまり使いたくない副作用とは?」「芸能界の『暗黙の了解』を教えてください」。大衆性を帯びながら「IPPONグランプリ」ならではの問題が次々に繰り出される。

 「答えのないことを一生懸命考える。そのバカバカしさが素晴らしい」――とはチェアマン松本の名言。決戦の火ぶたは3日後に切られる。

続きを表示

2015年5月20日のニュース