月9監督が語る役者・相葉雅紀 静かなる自信「やってみます」

[ 2015年5月18日 09:00 ]

月9「ようこそ、わが家へ」の演出を手掛ける中江功監督。主演を務める「嵐」の相葉雅紀を絶賛した(C)フジテレビ

 「嵐」の相葉雅紀(32)がフジテレビ「ようこそ、わが家へ」(月曜後9・00)で“月9”初主演。温厚だが、気弱な主人公・倉田健太がストーカーに立ち向かう姿を好演している。「怖い月9」として話題を呼ぶ異色作の演出を担当する名匠・中江功監督(51)は、控えめながらも自信に裏打ちされた相葉の演技を絶賛した。

 直木賞作家・池井戸潤氏(51)の同名小説を原作に、ストーカーの恐怖と企業の謀略に立ち向かう家族を描くサスペンスタッチのホームドラマ。昨年秋、中江監督に演出のオファー。「嵐の5人のうち、相葉君はドラマよりバラエティーで活躍されているイメージ。だからこそ、やりがいがあると思いました」と相葉との初仕事を快諾した。

 「愛という名のもとに」「ひとつ屋根の下」など1990年代の数々の名作から「空から降る一億の星」「プライド」「Dr.コト―診療所」シリーズ、映画「冷静と情熱のあいだ」「シュガー&スパイス 風味絶佳」などで知られる中江監督。実際に撮影に入り「言い方は変ですが、普通に役者でした。台本もちゃんと読めていますし、シーンを感覚的に理解することもきちんとできていると思います」と役者・相葉の印象を語る。

 「自分の演技プランもあり、それなりに自信もあると思うんですが、一切、表に出さないですね。実はとっても男らしくて、男気があって、連続ドラマの座長として申し分ないものを持っている。でも、それをアピールしようとしない。自信があるからこそ、控えめにしているような気がするんですよね。男気?感覚的なものですが、芝居の仕方ですかね。自分のやるべきことが分かっていて、自分の立場も分かっていて、でも、決して主張しない。分かっているふうにしないところが、よくできていると思います。かなり、いい男ですよ」

 第1話、シーン25。沢尻エリカ(29)演じる雑誌記者・神取明日香と健太が喫茶店で以下のやり取りをした。

 明日香「じゃあ、昨日のあの男が家の花壇の花を抜いたってことですか」
 健太「たぶん…。ちゃんと撒(ま)いたはずだったんですけどね…」

 健太の「たぶん」の部分。台本上は「ええ」だった。あの男とは、健太が駅のホームで割り込みを注意し、その後、自宅近くまで追い掛けられた相手。

 相葉は中江監督に「『ええ』だと(花壇を荒らした)犯人が分かっているようになるので、肯定しなくていいですか?」と提案。中江監督も「確かに『ええ』と『たぶん』ではニュアンスが違う」とOKした。たった一言にも、相葉なりのこだわりがあった。

 また、中江監督が「もう少し、こんな感じで」と撮り直しを求めると、相葉は「はい、やってみます」と答えるという。

 「『はい、分かりました』とか『やります』『やれます』とは言わない。『やってみます』というのは、一見、自信なさげに思えますが『(監督の指示に対する)僕の理解が100%じゃないかもしれないので、1回やってみますから、見てください。違っていたら、変えます』というニュアンスですよね。(控えめな)相葉君を象徴した表現だと思います。『1回やってみますから、見てください』と演出に委ねる。信用できますよね。僕の経験上、こういう言い方をする人は、概ね柔軟性があって、自分でもいろいろ試したいと思っていて、そして静かな自信のある人が言う傾向にあると思っています」

 謙虚さの中にある芯の強さに、中江監督も“ベタ惚れ”。相葉との充実の撮影が続く。

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2015年5月18日のニュース