米朝さんを悼む ノックさん、喜味こいしさんと時間ぴったり名人芸対談

[ 2015年3月20日 09:15 ]

本紙対談で集まった(左から)横山ノックさん、桂米朝さん(中央)、喜味こいしさん

 2006年元日のスポニチ本紙芸能面(大阪版)は、桂米朝さん、喜味こいしさん、横山ノックさんという関西を代表する大物芸人の新春対談だった。本来、スポーツ紙の対談にはなかなか出演しない米朝師匠だったが、ノックさんの芸能界復帰の一助になればと出演を快諾していただいた。当時、ノックさんは例の事件の影響もあり、本紙での喜味こいし師匠との連載以外は、全く仕事がない状態だったのだ。

 対談当日、用意したリーガロイヤルホテルの一室は、たばこの煙が充満していた。お3人とも70歳を超えているのに、スパスパと気持ちよくたばこを吸っていた。司会進行役はわたしが務めた。まあ、しゃべりに関しては天才の3人。「それではご自由にどうぞ」と言った後、わたしはただ、楽しく話を聞いていただけだった。

 しかし、そのうちあることが気になりだしてきた。一応、時間は2時間と決めていたが、この大物3人に「そろそろ、お時間もよろしいようで」と誰が言えようか。そんな役割をノックさんに期待できるわけもない。ビッグ対談を締めるのはどうしたらいいんだ?残り30分になったあたりから、そればかり考えていた。

 対談は終わる気配もなく、盛り上がったまま続いた。まあ、少々オーバーしても仕方ないか。そう思っていたとき、米朝師匠が口を開いた。「もう、こんなもんでええやろ」。その言葉にこいしさんもノックさんも姿勢を正し、「はい」とうなずいた。鮮やかな締め方。時計を見た。2時間ちょうどだった。これがプロか。お見事!米朝師匠!(大阪本社編集局長・樋口 徹)

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2015年3月20日のニュース