【TVプレビュー】「ゴーストライター」田中哲司が編集長好演

[ 2015年1月13日 11:00 ]

「ゴーストライター」第1話の場面写真(左から水川あさみ、中谷美紀)(C)フジテレビ

 中谷美紀(38)が13年ぶりに連続ドラマの主演を務めるフジテレビ「ゴーストライター」(火曜後9・00)は13日、15分拡大でスタートする。

 作曲家を偽装した佐村河内守氏(51)と、その代作を務めたと公表した新垣隆氏(44)の“騒動”が連想されるが、中谷演じる天才小説家・遠野リサと水川あさみ(31)演じる作家志望の元OL・川原由樹の対決や友情を通じ、現代人の生き方を問うヒューマンサスペンス。「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」「僕の歩く道」の“僕シリーズ3部作”などで知られる橋部敦子さんがオリジナル脚本を手掛ける。“感動請負人”の橋部さんが“悪人”を描き、新境地を開く。

 降りしきる雨の中、リサと由樹が路上に倒れ込むほどの取っ組み合い。物語は壮絶なシーンで幕を開ける。殴り合いに至るほどの確執。2人の間に何があったのか。物語は2年数カ月前にさかのぼる…という構成で、見る者をドラマの世界に巧みにいざなう。

 第1話は、由樹がリサのアシスタントに仮採用され、2人の出会いを描く。リサは30代にしてベストセラー作家として大成功を収めたが、才能の限界を自覚。その恐怖に震えながら、己との闘いに神経がすり減る姿を中谷が見事に体現する。中谷は「オリジナルでどこまでドキドキ、ハラハラしていただけるか、チャレンジングな作品をいただきました。美しい部分も含めて、女の情念を徹底的に演じていきたい」 と意気込んでいる。

 一方の由樹はOLをやめ、小説家を目指して長野から1年間限定で上京。洗練されたリサとは対照的に、素朴なセーター、シーンズ姿。純粋な女性が今後、野心とともにゴーストライターに変貌する過程が楽しみだ。

 惜しむらくはリサの発表した作品群、由樹が出版社に持ち込んだ原稿がどのようなものなのか、具体的に分からなかった。劇中、リサの10年前のヒット作が「いつか…あの日のあなたへ」、最新作が「エバーフレッシュ」とタイトルは判明。多彩なジャンルを書いていると思われるが、軸は恋愛小説なのかミステリーなのかサスペンスなのか。第2話以降に期待したい。

 第1話で目立ったのが、ビシネスに徹するヤリ手編集長・神崎雄司を演じる田中哲司(48 )。名バイプレーヤーになって久しいが、今作も存在感を発揮している。「自分の作りたい本を作るチャンスをください」と懇願する部下を「欲しいのはいい本じゃない。売れる本。確実に金になる本だ」と否定するキャラクター。リサとの関係も注目で、田中の好演も相まって出版業界の内幕ものとしても興味深い。

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2015年1月13日のニュース