内野聖陽“アベノムービー”主役に!トルコとの友好の象徴

[ 2015年1月13日 05:30 ]

映画「海難1890」に主演する内野聖陽と忽那汐里

 安倍晋三首相の全面バックアップの下、日本・トルコ合作映画が製作されることになり、主演に俳優の内野聖陽(46)が抜てきされた。1890年に和歌山沖で遭難したトルコ軍艦エルトゥールル号を題材にした「海難1890」。安倍首相は同作をトルコとの友好の象徴にしたい考えで、3月に設立される「“海難1890”を成功させる会」の最高顧問に就任する。12月に公開予定。

 エルトゥールル号の遭難事故は、近隣住民が総出で乗組員を救出したことで知られ、日本とトルコの友好を象徴する出来事として語り継がれている。映画では住民の勇敢な行動や献身的な介護にスポットを当てる。イラン・イラク戦争の最中の85年、イランに取り残された日本人が、「エルトゥールルの恩返し」とトルコ航空機に救出された物語も盛り込む。

 企画が持ち上がったのは10年前。和歌山県串本町の田嶋勝正町長が、大学の同級生だった今作の監督、田中光敏氏に提案。2010年に和歌山県が賛同を表明し、11年にトルコの文化観光省、12年に日本の外務省が後援に名乗りを上げた。

 トルコは経済発展が著しく、安倍首相が関係強化に最も力を注ぐ国のひとつ。安倍首相は「映画を成功させて、両国の絆をより深めたい」と話し、自ら「成功させる会」の最高顧問に就任。製作・配給の東映によると首相が個別の映画に関わるのは初めて。アベノミクスならぬアベノムービーで、トルコとの親善と日本経済の活性化を狙う。

 国家プロジェクトとあって、製作費も邦画としては破格の10億円。両国が5億円ずつを負担する。既にクランクインし、トルコでのロケも敢行する。

 主人公の医師役を演じる内野は、事故が起きた9月16日が誕生日。運命的な縁を感じており「イスラム文化はなじみが薄いですが、それは私の演じる医者も同じこと。これからトルコの役者たちと触れ合う中で、きっと何かが生まれてくると思うので、それを役の中に反映できたら」と、大作に意欲満々だ。

 忽那汐里(22)が主人公をサポートするヒロイン役で出演。85年の物語でも、テヘランにある日本人学校の教師役を務め「精いっぱい、2つの役を演じきりたい」と話している。ほかに夏川結衣(46)小澤征悦(40)竹中直人(58)笹野高史(66)らが出演する。

 ▽エルトゥールル号の遭難事故 明治天皇を表敬して帰国途中の1890年9月16日、暴風雨に遭い、現在の和歌山・串本町沖で沈没。多くの乗組員が海に投げ出された。知らせを受けた村人は総出で生存者を救助。自らの食べ物にも事欠く村だったが、非常食までを異国の人に与えた。こうした献身的な活動の結果、乗組員656人のうち69人が助かり、再び母国の土を踏むことができた。

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