「スクール☆ウォーズ」モデル 伏見工消える…統合で新校名公募

[ 2014年12月15日 06:15 ]

81年、伏見工を初優勝に導いた“泣き虫先生”山口良治監督

 全国高校ラグビー大会4度の優勝を誇る京都の名門・伏見工が、既に決まっている洛陽工との統合に伴い、新しい校名を15日から公募することになった。テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとなり、花園で数々のドラマを生んだ同校の名前は消え、2016年4月から新校名となる。単独の名前で花園に挑めるのは来年が最後となる可能性が高い。

 統廃合は少子化の流れとはいえ、寂しい事態を迎えた。高校ラグビー界の名門・伏見工の名前が消える。既に決まっていた洛陽工との統合に伴うもので、歴史ある両校の名前を残すことも検討されてきたが最終的に全く新しい校名に生まれ変わることになった。

 荒廃した学校のラグビー部を全国屈指の強豪に押し上げた山口良治総監督(71)も無念さを隠しきれなかった。

 「時代の流れなので仕方ないですが、多くの卒業生が寂しくなりますね。ラグビー部のOBたちは特にそうだと思う。新しい歴史をつくるということは大変なことです。ラグビー部も昔のような強さを取り戻すのは一朝一夕にはいかない。どのような名前になっても、これまで以上の活躍を目指してほしいです」

 “泣き虫先生”の熱血指導で、チームは全国大会を制するまでになった。その軌跡がテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」のモチーフとなったことは、あまりに有名だ。

 16年4月に新しい工業高校となるため、伏見工の名前で新入生を募集するのは現在の中学3年生が最後。16年4月入学で“1期生”となる現中学2年生は新校舎で授業を受け、それ以前の生徒はそれぞれの学校での生活が続く。ラグビー部は不確定な部分が多いものの「伏見工」単独の名前で花園に挑むのは来年が最後となりそうだ。今年は京都府予選準々決勝で敗れ、花園切符を逃した。

 新しい学校名は一般公募となっている。15日から受け付けを開始し、来年1月23日で締め切られる。地域に親しまれる京都らしさを持つ――などが選考ポイントになっており、公募案を基に京都市教育委員会が来年3月までをめどに決定する。

 ▼伏見工ラグビー部大八木淳史OB会長(芦屋学園理事長) 時代の流れ、少子化の中で統合は仕方ない。洛陽工も歴史のある高校。どちらかの名前を残すことはできないと思う。しかし、統合・再編されることで施設や、グラウンド環境などは良くなると聞いている。新たな出発を図って、活躍してほしい。

 ▽伏見工 1920年創立の京都市立校。所在地は京都市伏見区。全国高校ラグビーに19回出場、優勝4回。通算50勝は歴代10位。OBに平尾誠二、大八木淳史、田中史朗。

 ▽洛陽工 前身の京都染工講習所は1886年に創設。1963年から現校名。京都市南区にある京都市立校。ラグビー部はない。主なOBはプロ野球近鉄元監督の岡本伊三美、日本電産創業者の永守重信。

 ▽スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~ 日本代表の名フランカーだった山口良治監督率いる伏見工ラグビー部をモデルに作家・馬場信浩が執筆した「落ちこぼれ軍団の奇跡」を基に、大映テレビが84~85年に制作した青春ドラマ。主人公の“泣き虫先生”滝沢賢治(山下真司)をはじめ“イソップ”こと奥寺浩(高野浩和)、“川浜一のワル”大木大助(松村雄基)ら個性豊かなキャラクターも話題になった。

 ▽応募方法 郵送、FAXなどで受け付け。宛先と問い合わせは、〒604―8571、京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488「京都市役所 本庁舎内 新工業高校開設準備室」の「京都市立新設高校 校名検討委員会 事務局」=(電)075(222)3811、FAX075(222)3751=、また準備室のホームページ=アドレス=まで。

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