元祖トラック野郎が語る文太さん 最後の言葉は「体に気を付けろ」

[ 2014年12月3日 05:30 ]

「トラック野郎」シリーズ全10作に出演したトラック運転手の宮崎靖男さん

 菅原文太さんの代表作「トラック野郎」シリーズの撮影に全面協力した、トラック運転手でデコトラ親睦会「哥麿(うたまろ)会」初代会長の宮崎靖男さん(71)。デコトラ乗りの草分けだった宮崎さんのトラックがテレビで紹介され、これを見た愛川欽也(80)が企画したのが「トラック野郎」だった。

 宮崎さんは撮影に使うデコトラを全国から集め、哥麿会のメンバーと出演。文太さんにヤンチャな乗り方を教えたのも宮崎さんで、「本当に様になってて、カッコ良かったな」と振り返った。

 75年、1作目の製作発表は横浜・出田町埠頭にデコトラ約50台を集めて行った。「“俺が全部回るから”って1台ずつ回って握手をしてくれた。グッと力強く手をつかまれたよ」と懐かしそうに右手を見つめた。

 宮崎さんは全作に出演。カチンコの合図が分からずに失敗していた時、文太さんが「ちゃんと教えてやらなきゃダメだろ」とスタッフを叱ったという。「気遣いをしてくれる方。男がほれる男で、兄貴のような存在だった」と話した。

 文太さん演じる星桃次郎が乗ったトラック「一番星」の名は、哥麿会の高田副会長(当時)の車号を譲り受けたもの。文太さんが代わりに「兄弟星」という新しい名前を考えて、直筆でプレートに書いて高田さんにプレゼントしたという。

 素顔も見ていた。岩手・花巻での撮影時、文太さんと監督が、スナックで2人の間に座った女性を取り合っていた。「“仁義なき戦い”のように広島弁を使って“俺の女じゃけん”って手を引っ張っててね」と笑った。

 1年ほど前、講演会で会ったのが最後。「控室に行ったら、“珍しいなあ、元気か?体に気をつけろ”と言っていたのに、まさか文太さんがね…」と悔しがった。「いま50~60代の運転手は、みんな文太さんに憧れて運転手になった。天国でまたトラックに乗ってるのかな」と天を仰いだ。

続きを表示

この記事のフォト

2014年12月3日のニュース