宮崎駿監督 アカデミー名誉賞に 生涯現役 短編製作「チャンスあればやる」

[ 2014年11月10日 05:30 ]

8日、ロサンゼルスでアカデミー名誉賞を受賞した宮崎駿監督

 アカデミー名誉賞の授賞式が8日(日本時間9日)、ロサンゼルスのハリウッドで開かれ、「もののけ姫」などの大ヒットアニメを手掛けてきた宮崎駿監督(73)に授与された。名誉賞は90年に故黒澤明監督が受賞して以来、日本人監督として2人目。長編映画の製作からの引退を表明しているが、「小さいものでチャンスがあるときはやっていく」とあらためて短編製作に意欲を見せた。

 宮崎監督は、舞台上にタキシード姿で登場。受け取った金色のオスカー像を右手で掲げた。記念のスピーチでは「紙と鉛筆とフィルムで映画をつくれた最後の時代に参加できたことは幸運だった」と話し、満場の拍手を浴びた。

 会見では、長編作品の製作はあらためて否定した上で、「大きなものは無理ですけど、小さいものでチャンスがあるときはやる。作れる限り作っていこうと思っています」と“生涯現役”を宣言。「三鷹の森ジブリ美術館」で上映される短編を製作していく考えを明かした。

 13年9月に「風立ちぬ」を最後に長編製作から引退すると表明したが、短編アニメ製作への意欲を示していた。

 アイルランドの女優モーリン・オハラ(94)も名誉賞を受賞した。モーリンとの対面を喜び、「生きている間に会えるなんて夢にも思わなかった。生きていると、とんでもないことが起こる」と笑顔。オハラを引き合いに、自らを「本当に小僧」といい、「あまりリタイアとかそういうことは口にせず、やれることはやっていこうと思う」と笑みを浮かべた。

 また戦争に翻ろうされた先人の経験に触れ「(自分が)アニメーションを続けられたのは(私が仕事をしてきた中で)日本が戦争をしなかったというのが大きい。戦争と原爆の記憶があったから“戦争は絶対しない”というのが定まっていたが、(戦後)70年過ぎてだいぶ怪しくなってきた」と危惧を示した。

 人間と自然との関わりや戦争などをテーマにした作品を続けてきた宮崎監督は「千と千尋の神隠し」で、アカデミー賞長編アニメ賞やベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞。「ハウルの動く城」や「風立ちぬ」でアカデミー賞にノミネートされている。

 アカデミーは授賞理由を、「もののけ姫」で90年代後半に世界的に有名になる前から「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」、「となりのトトロ」などの作品が日本で絶大な支持を受けていたと説明、長年の功績を称えた。

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