10月歌舞伎座、11月新橋 連続で十七、十八代目勘三郎の追善興行

[ 2014年7月30日 05:30 ]

新派「鶴八鶴次郎」の中村勘九郎(右)と中村七之助

 歌舞伎役者の中村勘九郎(32)、七之助(31)兄弟が10月に東京・歌舞伎座、11月には新橋演舞場で、祖父の十七代目、父の十八代目勘三郎さんの追善興行を行うことになった。歌舞伎と新派の2カ月連続の追善は初めてで、いずれも中村屋ゆかりの演目がズラリ。勘九郎は「2人に恥じない舞台にしたい」と気合が入っている。

 念願のニューヨーク公演「怪談乳房榎(かいだんちぶさえのき)」の大成功で、ひと回り大きくなった勘九郎、七之助。次の大仕事は、祖父に当たる十七代目の二十七回忌、父の十八代目勘三郎さんの三回忌にささげる舞台となる。

 勘九郎は「今でも何をやっても父の声がどこからか聞こえてくるような気がします。この気持ちは一生変わらないでしょうね。尊敬する祖父、父に恥じない舞台にしたい」と抱負を述べた。七之助も「生前、父からは“歌舞伎座で追善がしっかりできるような役者になれ”とよく言われた。その言葉に応えられるように全身全霊で務めたい」と意気込んだ。

 歌舞伎座で上演されるのは、「野崎村」「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」(昼の部)、「寺子屋」「鰯売恋曳網(いわしうりこいのひきあみ)」(夜の部)など、先代、先々代が得意とした演目だ。昼夜とも初役が並ぶが、2人は「これから一つ一つ着実に役を受け継いでいきたい」と固い決意を口にした。

 一昨年5月、十八代目の最後の舞台となった平成中村座の公演中に父子で決めたのが、11月の新橋演舞場で演じる新派「鶴八鶴次郎」。「あの時、父は僕たちと一緒に“め組の喧嘩(けんか)”とかに出てました。まさか、その父の追善になるなんて思ってもいませんでした」と勘九郎。「鶴八鶴次郎」は、十七代目が2度、十八代目が4度演じた川口松太郎の名作。「新派は初めてですが、とても分かりやすい芝居。いまの朝ドラのような、誰が見ても楽しめる展開ですから、ぜひ若い人にも見てもらいたい」と笑顔で話していた。

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2014年7月30日のニュース