小澤征爾氏、3年ぶり海外公演 渾身の指揮に聴衆総立ち

[ 2014年6月29日 09:25 ]

28日、ジュネーブで公演を終え、聴衆から拍手を受ける小澤征爾さん

 指揮者の小澤征爾さん(78)が28日、スイスのジュネーブで、創立10年目の“スイス小澤アカデミー”の塾生25人を率いて渾身の弦楽合奏を響かせ、聴衆から異例の総立ちの拍手を浴びた。小澤さんの本格的な海外公演は、2011年のアカデミー公演以来、約3年ぶり。

 食道がんの手術に耐え、腰痛にも悩んできたが、練習も、実演も全力を振り絞った。

 バルトークの「ディベルティメント」は、指揮台のいすから立ち上がり全身で指揮。鋭い眼力に突き動かされるように、塾生は練習で指摘された「暗い音色」を出しきった。

 バッハの協奏曲で、小澤さんと息の合った伸びやかな独奏をしたのは、20歳代のポーランドとフランスのバイオリン奏者2人。アカデミー創始期から毎年通いつめ、小澤さんも注目する常連だ。 アカデミー在籍は3年までが原則だが、本人の強い希望を受け、小澤さんは2人を特別に招待してきた。講師陣と並び先輩格として若手を刺激する効果も生まれている。

 昨年まで2年連続でアカデミー指導の代役を任された指揮者山田和樹さんも演奏に感嘆。「素晴らしい成果だ。住民もアカデミーも『お帰りなさい』という感じ」と顔をほころばせた。

 公演の前半は、塾生が5組に分かれベートーベンやドビュッシーなどの室内楽を弾き、練習の成果を披露。7月1日にはパリでも公演する。(共同)

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2014年6月29日のニュース