小澤さん、3年ぶりに海外で熱演 スイス住民と音楽交流

[ 2014年6月27日 06:12 ]

 世界的指揮者の小澤征爾さん(78)がスイス西部ロールで26日、自ら創設した音楽塾“スイス小澤アカデミー”の若手弦楽奏者を率いて演奏会を開き、地元の人々と音楽交流を楽しんだ。体調不良が続いた小澤さんが海外で聴衆を前に指揮するのは、2011年7月のアカデミーとの欧州公演以来、約3年ぶり。

 事前の練習では20分ごとに別室で休憩を取り、体調が万全とはいえなかった。しかし実演では、3年前よりも力強く足を踏みだし、舞うように体全体で目指す音楽を表現。音づくりに懸ける気迫に、10カ国から集まった塾生25人が共鳴した。

 演奏会は、雪を頂くアルプスの山並みを望むレマン湖岸の古城の中庭で開かれた。入場は自由。2年連続で指導に来られなかった小澤さんの復帰を喜ぶ住民が子供連れも含め大勢集まった。

 小澤さんはバッハとバルトークの作品を指揮したほか、後半に登場した地元の男声合唱団や子供らの吹奏楽団の演奏にも一部参加。最後は民俗衣装の男性歌手と並んで客席にアルプス民謡の唱和を促し、大喝采を浴びた。

 アカデミーは今年で10年目。小澤さんをはじめ世界で活躍する日本人が指導の中核を担う。世界最高水準のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で首席に採用されたチェロ奏者も輩出するなど成果を積み上げている。

 本格的な公演は28日にジュネーブ、7月1日にパリで行う。

 小澤さんは10年に食道がんの手術を受けた。腰痛も重なり、一時は活動を停止した。しかし昨年夏には音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」でオペラを指揮し、活動を本格化。若手指導に力を注いでいる。(共同)

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2014年6月27日のニュース