スイスのチャプリン邸が博物館に 16年春オープン

[ 2014年6月8日 15:39 ]

チャプリンが亡くなるまでの20年間以上を過ごしたスイス・ブベーの邸宅前で話すユージン・チャプリンさん

 喜劇王チャプリンが、亡くなるまでの20年間以上を家族と過ごしたスイス西部ブベー近郊の邸宅が改装され、偉業を伝える博物館として2016年春にオープンする見通しとなった。博物館の構想が浮上して十数年。新たな観光名所として注目を集めそうだ。

 邸宅はレマン湖を見下ろす高台に位置し、敷地面積は13ヘクタール。家具や遺品、大量の書物などを集め、チャプリンが過ごした当時のままの状態を再現する計画だ。敷地内には展示館も建設され、総事業費は6千万スイスフラン(約69億円)近くに上る。

 英国出身のチャプリンは、米国で巻き起こったマッカーシズム(共産主義者弾圧)の嵐がハリウッドでも吹き荒れた際、「容共者」のレッテルを貼られた。1950年代前半に米国への再入国を拒絶された末、この邸宅に落ち着いた。77年に88歳で死去するまで妻や子どもらと過ごした。

 博物館の構想は2000年ごろ浮上したが、地元団体や周辺住民らの合意の取り付けに時間がかかり、実現が先延ばしされてきた。しかし昨年5月にようやく建設作業が始まり、博物館の計画責任者はこのほど16年春の開館の見通しを明らかにした。

 息子の1人、ユージン・チャプリンさん(60)は「一家が過ごした思い出の家が博物館になるのはうれしいが、少し複雑な気分だ」と心情を吐露。「父は謙虚な人だったので、博物館ができると聞いたら照れるかもしれない」と話した。(共同)

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2014年6月8日のニュース