ASKA容疑者逮捕で注目 薬物捜査犬はシャイな女の子

[ 2014年6月6日 07:57 ]

 覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された「CHAGE and ASKA」のASKA(本名宮崎重明)容疑者(56)の自宅の家宅捜索で、警視庁の「薬物捜査犬」が注目を浴びた。手柄を挙げたのは黒い雌のラブラドルレトリバー犬、イルミナ号(6歳)。イルミナ号はどんな犬?薬物捜査犬とは?知られざる薬物捜査の切り札を取材した。

 ASKA容疑者の家宅捜索から10日余り過ぎた5月下旬、イルミナ号は東京都板橋区の警視庁警察犬第1訓練所で、訓練にのぞんでいた。5つのアタッシェケースが広場に置かれ、1つに大麻のにおいをつけたタオルが入っている。イルミナ号は、1つ2つ嗅ぎ、数秒で“当たり”を発見。担当者に鼻で指し示し、横に座った。タオルは、人間の嗅覚では生地のにおいしかしなかった。

 イルミナ号はASKA容疑者宅の捜索で、1階書斎の引き出しから覚せい剤の付着物がついた小袋を発見。引き出しが多く捜査員が苦戦する中、お手柄だった。

 警視庁の捜査を担当する警察犬は現在、約40匹いる。その中でイルミナ号を含め5匹が、薬物捜査を専門としている。イルミナ号は2009年12月に1歳9カ月で訓練所入り。担当者によると「ちょっとシャイで普段は女の子らしいが、作業に没頭する性格」と持久力と集中力が高いという。

 これまでの出動件数は28回。有名事件で名前が出たのは今回が初めてという。否認していた容疑者が家宅捜索でイルミナ号と対峙(たいじ)し「もう隠すのは無理」と自ら薬物を差し出したエピソードもある。

 人間でいうと40歳の働き盛り。警視庁の石田光男刑事部管理官は「警察犬と担当者は、現場から要請がきたら出動する。そのために日々訓練とケアをし、いつでも万全にしておくのが仕事」と説明。ASKA容疑者宅でも「有名人とは知らず通常と同じように出動したらマスコミがいて戸惑いました」(担当者)と、いつも通りの仕事をした結果と強調した。

 「脱法ハーブなど薬物もその時々で変わってくる。今後新しいものに対応していく」(石田管理官)と、活躍の幅は広がりそう。今回の手柄では、特にご褒美はなかったイルミナ号。しかし、写真撮影の時、なぜか記者の顔をベロリとなめた。「めったにしない。取材がうれしかったのかな」と担当者。注目はまんざらでもないようだ。

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2014年6月6日のニュース