AKBに被災地からエール「元気になって来て」「今度はこちらが支援」

[ 2014年5月31日 17:46 ]

宮城県松島町の一日観光親善大使となり、地元住民らと遊覧船に乗る川栄李奈(左から3人目)らAKB48のメンバー=2013年6月

 岩手県滝沢市のイベント会場で、アイドルグループ「AKB48」のメンバーらが切りつけられた事件は、1日で発生1週間。東日本大震災の直後から東北地方の沿岸部を訪問し、ライブなどで励ましてきたメンバーに対し、被災者らは「今度はこちらが支援する番」「元気になってまた来て」とエールを送っている。

 AKB48の運営会社によると、震災2カ月後の2011年5月に岩手県を訪問したのを皮切りに、ほぼ月1回のペースで、宮城、福島を含む3県で計37回、ミニライブなどを開いてきた。事件でけがをした川栄李奈(19)や入山杏奈(18)も岩手や宮城を中心に訪問を重ねていた。

 今年2月に入山らを迎えた岩手県大船渡市の児童養護施設では、子どもたちが歌の振り付けを習って一緒に踊ったり、絵を描いたりした。「みんな本当に喜んでいた。早い回復を祈っています」と職員の刈谷忠さん(60)。同市の仮設商店街で鮮魚店を営む上野英明さん(63)は「復興のために頑張ってくれたのに、恩をあだで返すようで情けない」とため息をついた。

 川栄や入山が訪れた岩手県山田町の団体職員の女性(49)は「すごく励まされたのに、岩手で事件が起きてとても申し訳ない気持ち。落ち着いたらまた町に来てほしい」と期待を込めて話した。

 4月に全線で運転再開を果たした岩手県沿岸を走る三陸鉄道も、メンバーとの交流を大切にしている。再開直後には渡辺麻友(20)ら6人が一部区間で乗車し、車内で歌を披露した。同社南リアス線運行部の吉田哲部長(50)は「沿線の子どもたちが本当に喜んでいた。これからも岩手に来て支援をしてほしいし、こちらからも何か支援のお返しをしたい」と語った。

 一方、イベントの運営に対する懸念の声も。地元であったライブの警備係をしたという大船渡市の自営業小牟礼隼人さん(34)は「(運営サイドが)警備態勢をしっかりしてもらわないと、イベントを続けるのは難しいのかな」と不安げだった。

 岩手県警に現行犯逮捕された青森県十和田市の無職梅田悟容疑者(24)は、調べに「AKBなら誰でもよかった。2人の名前は知らなかった」と供述。自宅からAKB48のCD2枚が見つかった。「最近イライラしていた」とも話しており、県警はAKBを標的にした経緯や詳しい動機を調べている。

続きを表示

2014年5月31日のニュース