「美味しんぼ」小学館が再度釈明「因果関係断定するものではない」

[ 2014年5月12日 13:43 ]

東京電力福島第一原発事故をめぐる描写が波紋を呼んでいる「美味しんぼ」。4月28日発売号(右)と5月12日発売号

 東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出す描写が議論を呼んでいる漫画「美味しんぼ」(雁屋哲・作、花咲アキラ・画)について、掲載誌・ビッグコミックスピリッツ(小学館)の編集部は12日、同日発売の24号に関する見解を発表した。

 作中で言及されている福島県、大阪府を始めとした自治体や菅義偉官房長官、石原伸晃環境相らが同作品への批判を強めているが、同編集部は「24号掲載の『美味しんぼ』作中において、鼻血や疲労感と放射線の影響を関連づける発言が出てまいりますが、前号で登場した医師のように、そうした放射線との関連性について、否定的な意見を持つ方も多く存在します。その因果関係について断定するものではありません」と釈明した。

 作中では福島県双葉町の井戸川克隆前町長が鼻血の原因をめぐり「被ばくしたからですよ」と語る場面があり、福島県は「作中に登場する特定の個人の見解が、あたかも福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない表現があり、県内外の多くの皆さまに不安と困惑を生じさせており、県としても大変危惧しております」と訴えている。

 この抗議に対しては「事故直後に盛んになされた低線量放射線の影響についての検証や、現地の様々な声を伝える機会が大きく減っている中、行政や報道のありかたについて、議論をいま一度深める一助となることを願って作者が採用したものであり、編集部もこれを重視して掲載させていただきました」と作者の意向を尊重したと明かした。

 19日に発売する25号と同誌公式ホームページで、「美味しんぼ」の騒動に関する特集記事を掲載する予定。識者や専門家の見解や批判を含む意見を集約するという。

 同編集部は4月28日発売号の「美味しんぼ」に抗議が寄せられた際も「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はありません」などとするコメントを同誌のホームページで発表していた。

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2014年5月12日のニュース