六角精児、佐村河内騒動で自らも懺悔「他人のこと言えない」

[ 2014年4月17日 13:25 ]

エッセー集「少し金を貸してくれないか 続・三角でもなく四角でもなく」を発売した六角精児

 ドラマや映画で個性を発揮する俳優、六角精児(51)。近年では、役者業にとどまらず、多彩な趣味を生かし、バラエティー番組でもその姿を見かけることも増えた。先月には2冊目のエッセー集「少し金を貸してくれないか 続・三角でもなく四角でもなく」(講談社刊)も発売したばかりだ。マルチな才能を発揮する名バイプレーヤーの素顔とは?

 印象的な著書のタイトルは「自分の40代までの10何年かを象徴しているような気がした」と自ら決めた。時事ネタを巧妙に取り入れたエッセーの執筆は最近起こった出来事に自身の経験や思いを照らし合わせる検証作業。「主観的なものより、どこかフィルターを通してものごとが見られればいいなと思って書いている。自分自身のことをそのまま書いてもあまり面白くないんじゃないかって」。

 世間を賑わせたゴーストライター騒動も自身の若かりし頃にやってしまった“盗作”の懺悔(ざんげ)にまで掘り下げているところが興味深い。「いい曲だな、お前が作ったのか?」と問われ、つい「そうだよ!」と答えてしまった。「若い頃は自己顕示欲が強くて、その後にバレることは自明の理でも、すごいと思われたいという気持ちの方が強かったんだと思う。(当時のことが)自分の心の中にはずっとあったんですけど、(佐村河内守氏の騒動で)そのスゴ玉みたいな人が出て来たわけじゃないですか。俺も他人のことも言えないなと思ったんです。恥ずかしいことですけど、そういう自分も隠す必要はないかな」と自身の過ちまでもさらけ出す潔さだ。

 演技を始めたのは高校の演劇部に入ったことがきっかけ。それから30年以上、六角は「決して最初から飯が食えるわけでもなかったし、そこまで自分が芝居が好きだとも思っていなかったけど、流れるままに海藻のように生きてきた」と笑う。仕事が順調に回り出したのは40歳すぎてから。「やっと楽しいなと分かってきた感じ。自分の好きな仲間たちとお芝居をしたりできるようになったのは大きいかもしれない。今後も役者として与えられた仕事を精一杯、(依頼に)応えられるものを用意していきたい」。

 テレビ朝日系人気刑事ドラマ「相棒」での鑑識官・米沢守役はスピンオフ映画まで制作されるほど、人気キャラクターに成長した。「長年やってきたからこそで、年月をやっていないとバイプレーヤーに少しでも日が当ててもられるようにはならない。そういう作品に巡り合えたのは暁光ですね」とシリーズ作になったからこその作品との運命的な出会いに感謝した。

 自身の人生を振り返り「後悔はない」と言い切った六角。「肯定はしているわけじゃないですし、小さい後悔はありますけど、やってしまったことはしょうがない。しょうがないと思って生きていたら、割と楽にはなるのかな。結果的に、自分はそれが経験としてうまく回っているところもあるし、俳優としても幸せだとは思いますね。そう言わないと罰が当たる。本当に借金苦でいなくなってしまうスレスレまで行った人間が、役者で人に知ってもらうことが少しできて、今、こうしていられるんですから」。

 ◆六角 精児(ろっかく・せいじ)1962年(昭37)6月24日、兵庫県生まれ。高校時代の演劇部のメンバーと劇団「善人会議」(のちに「劇団扉座」に改名)を結成し、俳優の道へ。学習院大中退。2000年スタートのテレビ朝日の人気刑事ドラマ「相棒」シリーズで鑑識・米沢守を演じ、脚光を浴びる。26日公開には劇場版第3弾が公開。27日スタートのTBS日曜劇場「ルーズヴェルト・ゲーム」(TBS系)に製造部長・朝比奈誠役で出演する。

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