宮崎監督「風立ちぬ」逸冠も笑顔「友情や公正さを感じた」

[ 2014年3月4日 05:30 ]

米アカデミー賞の受賞を逃し、記者会見する宮崎駿監督

 米映画界最大の祭典、第86回米アカデミー賞が2日(日本時間3日)、ハリウッドのドルビー・シアターで開かれた。昨秋に引退を表明した宮崎駿監督(73)の「風立ちぬ」は長編アニメ賞にノミネートされていたが、受賞を逃した。宮崎監督は都内で会見し「ノミネートだけで十分。ゼロ戦の設計者の映画なのに、交戦国だった米国の友人たちの友情や公正さを凄く感じた」と笑顔で感謝の言葉を述べた。

 宮崎監督は仕事のため現地入りせず、東京都小金井市のスタジオジブリのテレビで授賞式の様子を見守った。午前11時20分ごろ、受賞を逃した瞬間には、スタッフら約10人と「ああ…」とため息を漏らした。だが、すぐに拍手で健闘を称え合った。

 報道陣の前には、ベージュのエプロン姿で現れた。03年の「千と千尋の神隠し」以来2度目の受賞は逃したが「米国の友人たちが、ノミネートまで持っていってくれた。それで十分です」と表情に悔しさはなかった。

 「風立ちぬ」が零式艦上戦闘機(ゼロ戦)設計者をモデルにしたことに触れ「かつての交戦国の戦闘機をつくった男の映画を、米国の友人たちが作品として評価してくれた。友情や公正さを凄く感じました」と感謝。過去の歴史を乗り越えて評価されたことを喜んだ。

 昨年9月、「風立ちぬ」を最後に長編アニメ製作から引退すると表明。「こういうことで悔しいとか、うれしいとか思うのは、やめるという気持ちになっていた」とサバサバした表情。同賞を受賞した「アナと雪の女王」をプロデュースし、親交のあるジョン・ラセター氏を祝福。「友人の作品が受賞し、とてもうれしい」とコメントした。

 米国では先月21日に限定公開され、劇場1館あたりの推定興行収入が全米2位と報じられた。翌週から拡大公開されている。「10年後にどう見られ20年後も見てくれるかでしょう。日本ではずいぶんお客さんが来てくれた。これ以上望むのは間違い」とあらためてファンに感謝した。日本勢では短編アニメ賞候補に挙げられた森田修平監督の「九十九」も選に漏れた。

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2014年3月4日のニュース