永井一郎さん死去 サザエさん放送開始から44年「波平」担当

[ 2014年1月28日 05:30 ]

死去した永井一郎さん

 人気アニメ「サザエさん」の波平の声などで知られる声優永井一郎(ながい・いちろう)さんが27日、虚血性心疾患のため、広島市のホテルで急死した。82歳。大阪府出身。客室内で倒れているのを発見され、病院で死亡が確認された。通夜・告別式などの日取りは未定。

 広島中央署などによると、永井さんは番組ナレーション収録のため、同市の中国放送を訪れていた。26日午後に仕事を終えてホテルに宿泊。翌27日のチェックアウト時刻を過ぎても部屋から出なかったため、従業員が様子を見に行くと、永井さんが浴槽で倒れていた。所属事務所は、虚血性心疾患で亡くなったと発表した。

 京大文学部時代に演劇を始め、卒業後は役者を志して上京。大手広告代理店の電通で会社員生活を送りながら、舞台俳優を目指した。俳優養成所を経て、愛川欽也(79)ら俳優座の3期生が結成した劇団三期会にも参加。1950年代半ばから、海外ドラマや映画の吹き替えやアニメ声優として活躍。しゃがれ気味の声質で、当初から落ち着いた役が多かった。

 フジテレビのアニメ「サザエさん」では69年10月の放送開始から44年間、磯野家の主・波平の声を担当。「バカモ~ン!」と叱る、威厳と温かみのある父親像で多くの人に愛された。磯野家と同居するフグ田家の人物を演じた声優では、カツオ役の高橋和枝さんが99年に70歳で亡くなっている。

 永井さんは、今月23日に都内のスタジオでアフレコに参加。フジテレビによると「とくに変わった様子はなかった」という。来月9日放送分まで収録しており、代役については検討中だという。

 アニメ「未来少年コナン」のダイスや「YAWARA!」の猪熊滋悟郎、「じゃりン子チエ」でネコの小鉄なども担当。コミカルな役もこなす一方で「機動戦士ガンダム」では重厚なナレーションを披露。米映画「スター・ウォーズ」シリーズのヨーダの声も務めた。

 ◆永井 一郎(ながい・いちろう)1931年(昭6)5月10日、大阪府生まれ。京大文学部卒業。俳優としても、新劇、ミュージカルなど幅広く活躍。声優としては、09年「第3回声優アワード功労賞」などを受賞した。

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