健さん文化勲章 映画205本出演…歌舞伎以外の俳優で4人目

[ 2013年10月26日 06:00 ]

文化勲章に決まった高倉健

 政府は25日、2013年度の文化勲章を俳優の高倉健(82)に贈ることを決めた。歌舞伎を除く演劇・映画・放送の俳優の受章は森光子さん(享年92)以来、8年ぶり。高倉は喜びのコメントを寄せ、無名の頃、母から言われた「辛抱ばい」の言葉を胸に頑張ったことを告白。「人生を愛する心、感動する心を養い続けたい」と誓った。

 俳優生活58年で205本の映画に出演した高倉。「昭和残侠伝」シリーズ(65~72年)では義理と人情に生きるヤクザ、「幸福の黄色いハンカチ」(77年)では不器用な中年、「鉄道員」(99年)では寡黙で実直な鉄道員と、一本筋が通った役柄で魅了してきた。政府は選出理由を「寡黙で剛直、ユーモアもたたえた個性で多くの映画に主演した」としている。

 文化勲章は、文化の発達に関し、特に顕著な功績のある人に贈られる。歌舞伎を除く演劇・映画・放送分野の俳優が受章するのは05年の森さん以来で、91年の森繁久弥さん(享年96)、00年の山田五十鈴さん(享年95)と合わせて4人目。

 国からの褒章・勲章としては、98年に紫綬褒章を受章、06年に文化功労者に選ばれている。

 高倉は受章に際し、報道各社に直筆の署名を入れた文書を寄せ「今後も、この国に生まれて良かったと思える人物像を演じられるよう、人生を愛する心、感動する心を養い続けたいと思います」と抱負。「映画は国境を越え言葉を越えて、“生きる悲しみ”を希望や勇気に変えることができる力を秘めていることを知りました」と、映画の影響力の大きさをあらためて強調した。

 デビュー前の養成所時代は「“他の人の邪魔になるから見学していてください”と言われる落ちこぼれでした」と回想。「それでも“辛抱ばい”という母からの言葉を胸に、国内外の多くの(映画)監督から刺激を受け、それぞれの役の人物の生きざまを通して社会を知り世界を観(み)ました」と、母の教えの“辛抱”が世界を広げてくれたと明かした。

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