やなせさん遺稿まだある?責任編集誌に次号示唆

[ 2013年10月20日 06:00 ]

「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」には、やなせさんの訃報を知らせる張り紙が貼られている

 アニメ「アンパンマン」シリーズの原作者で、13日に死去した漫画家やなせたかしさん(享年94)の未発表の遺稿が残っている可能性があることが19日、分かった。15日に悲報が伝えられてから初めての週末を迎え、「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」(横浜市西区)や、おもちゃ店は、作品を愛する親子連れでにぎわった。

 この日は、やなせさんが死の直前まで編集した季刊誌「詩とファンタジー」24号が発売。編集後記にあたる「表詩記」で、やなせさんは「子供でもわかる位の簡単なものが一番いいのである。ということでまた次号でひとくろうすることになる」と、次作への強い意欲を示していた。

 発行元「かまくら春秋社」は、「今はなんとも言えない」とし、遺稿が残っているかどうかを確認している。その上で、「24号に掲載されたものは9月9日に入稿されたもの。表詩記での言葉と時間的余裕から察すると、次号に向けた作品が残されている可能性がある」とした。

 やなせさんは、亡くなる直前まで書籍の構成作業や劇場版「アンパンマン」の企画など仕事を続けていた。かまくら春秋社は、「作品が見つかれば、もちろん25号で掲載することになる」と話した。

 同誌は、やなせさんが1973年に創刊。2003年に休刊した「詩とメルヘン」の流れをくむ。24号には、やなせさんが「もうおしまいです/死ぬときも/未熟のままで/かえって/よかったような/気もします」と、“遺言”とも取れるメッセージを寄稿し、話題を呼んでいた。

 各地の書店ではこの日、大勢のファンが本を手に取り巨匠の人生に思いをはせた。発行元「かまくら春秋社」は「問い合わせの電話が鳴りやまず、大幅な増刷をかけている」と話している。

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2013年10月20日のニュース