AKBでは異例の仕事 田名部生来 5・7・5に思い乗せて

[ 2013年8月4日 09:02 ]

「ここで一句」5・7・5の詠めるアイドルを目指す田名部生来

 「仮面ライダー」と敵対する「ショッカー」とのコラボレーションなど個性的な活動で光るAKB48の田名部生来(みく)(20)が今度は川柳、俳句に挑む。今月から、スポニチと毎日新聞の電子媒体「TAP-i」で、5・7・5の作品を随時発表していく予定。「ほかのメンバーがやらないようなことをいろいろとやっていきたい」と意欲満々だ。

 うら若き女性がペンと短冊を手に思い悩む。なかなか良い句が浮かばない。けれど、必ず何か作って発表しなくてはいけない。歌って踊るのが本業のAKBのメンバーとしては異例の仕事だ。

 「俳句は小学校高学年の頃に作ったことがあります。夏休みの宿題でした。お母さんに教えてもらいながら、大人ぶった句を詠んだのを思い出します」

 川柳、俳句への挑戦を決心したのは、ほかのメンバーがやらないようなことをやるためだ。多彩な顔ぶれがそろうAKBの中でこれから頭角を現すためには、歌や踊り、芝居、トーク以外の何かが必要だった。

 「中学の時は図書委員長でした。本が好きで、国語と社会だけは成績が良かったので、国語の先生が推薦してくれたんです。休み時間になると、図書室に行って仕事をしていました。“今週の一冊”を選んだ新聞みたいなものを作ったこともあります」

 もともと文学少女。好きな作家を問えば「司馬遼太郎さん」と答え、思い出の作品として司馬さんの「燃えよ剣」「新選組血風録」といった時代小説の名がすらすらと出てくる。AKBの一員としてはやはり異色の存在だ。

 「最近は漫画を読むことが多くなってしまいましたけど、それでも有名人の方のエッセーはよく読みます。オードリーの若林(正恭)さんとか、大泉洋さんとか。自分と同じような価値観を持った文章に凄く引かれます」

 その独特な個性は既に仕事で生かされている。東映の携帯サイトの“宣伝部長”としての「ショッカー」とのコラボはその一つ。その時に発した「ショッカーの戦闘員に親近感が湧いてきた。脱サラした会社員や若者たちが思うところがあって組織に入ったんだろうな」というコメントは、今の厳しい日本経済を反映する形で出色だった。

 そして、行き着いたのが5・7・5の世界。試作第1弾のテーマは、先日行われた参院選だ。

 選挙カー よく見りゃそこに 猪木さん

 決して巧みとは言えない川柳だが、実際に街を歩いて自分の目で確かめたことを詠んだ面白さはある。

 「原宿を普通に歩いていたら聞き覚えのある声が聞こえてきたんです。え!?と思って走ったら、そこに猪木さんがいて感動しました。その後、渋谷に行ったら今度は山本太郎さんが演説していました。そんなふうに有名人を続けて見るのは東京でしかないことなのでうれしかった」

 今後は時事ネタのほか、AKBの活動についても詠んでいく。人気メンバーが作品に登場し、思わぬ一面をのぞかせる可能性もある。AKBファンなら、目が離せない創作活動になりそうだ。

 ◆田名部 生来(たなべ・みく)1992年(平4)12月2日生まれの20歳。滋賀県出身。2006年12月、第3期AKBメンバーオーディションに合格。07年4月、劇場公演でデビュー。11年8月、初代滋賀県交通安全ふるさと大使に。身長1メートル62、スリーサイズは79・59・87。

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2013年8月4日のニュース