春風ひとみ 広島で被爆タカラジェンヌの先輩演じる

[ 2013年7月17日 10:05 ]

被爆のタカラジェンヌ、園井恵子の朗読劇を演じる春風ひとみ

 広島で被爆した元タカラジェンヌで女優の園井恵子の壮絶な最期を描いた朗読劇「私は芝居がしたいの!」を、後輩で女優の春風ひとみ(52)が、被爆から68年の今年8月6日、広島・紙屋町ヒューモホールで上演することになった。

 園井は元宝塚の娘役スター。戦時中に退団して新劇女優に転身、阪東妻三郎主演による1943年の映画「無法松の一生」の吉岡夫人役で評判になった。原爆投下当日は、劇団桜隊の一員として広島に滞在、爆心地近くの宿舎で被爆したが奇跡的に一命をとりとめ、神戸の知人宅まで帰り着いた。しかし、6日後に容態が急変、原爆症特有の大量出血で死亡した。

 再び舞台に立つことを夢見ながら、無念の思いで死んでいった園井の壮絶な最期をみとった故内海明子さん(演出家、内海重典氏夫人)からの聞き書きを基にフリージャーナリストの宮田達夫氏が書き下ろした朗読劇「私は芝居がしたいの!」を読んだ春風が台本にほれ込み、関係各所を奔走して今夏の上演にこぎ着けた。「宝塚を退団して新劇に進まれ、最後まで夢を捨てなかった園井さんに自分自身と重なる部分があり、内海先生が私の宝塚時代の恩師であることなどぜひ、私が園井さんを演じたいと思いました。毎年続けていければ」と抱負を話している。

 ◆春風ひとみ(はるかぜ・ひとみ)1960年(昭35)12月9日、東京都生まれ。79年宝塚歌劇団初舞台。月組で娘役として活躍。82年「愛限りなく」で大地真央の相手役を務める。89年「サウンド・オブ・ミュージック」マリア役で退団。退団後も主に舞台で活動。「壁の中の妖精」で紀伊国屋演劇賞を受賞。

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2013年7月17日のニュース