元タカラジェンヌが再起へ 尼崎JR脱線事故後、懐かしの舞台

[ 2013年2月11日 19:18 ]

宝塚音楽学校旧校舎の舞台で歌を披露する万理沙ひとみさん

 2005年の尼崎JR脱線事故で重傷を負った元タカラジェンヌ、万理沙ひとみさん(本名・川井みな子さん)が11日、宝塚音楽学校旧校舎(兵庫県宝塚市)の舞台に上がった。事故の記憶やけがの後遺症に苦しみながら歩む再起へ向けた日々を語った。

 万理沙さんは祖母、母と3代続くタカラジェンヌ。1989年にデビューし、星組の娘役として活躍、98年に退団した。

 教室で歌を教えるなどしていた05年、脱線事故に遭遇。3両目で折り重なる乗客の中で足に大けがを負い半年間入院、手術を繰り返した。激痛に耐えるリハビリを経て活動を再開したが、今も足は痛み、ダンスは踊れない。心的外傷後ストレス障害(PTSD)にも苦しみ、舞台から遠ざかっていた。

 11日まで体調は万全でなかったが、約120人の観客を前に「君はマグノリアの花の如く」など宝塚の名曲のほか、事故後の体と心の苦しさや支えてくれる人への感謝を込めたオリジナル曲など5曲を披露、優しい歌声で会場を満たした。

 旧校舎は現在、宝塚文化創造館として使われている。万理沙さんが退団後、旧校舎の舞台に立つのは初めて。風化が懸念される脱線事故を知ってもらいたいとの思いも後押しした。「普段はリハビリで精いっぱいだけど、ステージに立つとエネルギーが湧いてくる」と、思い出の舞台でほほ笑んだ。

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2013年2月11日のニュース