野田秀樹氏「化けて出てきて」大竹しのぶ声を震わせ「またね」

[ 2012年12月28日 06:00 ]

中村勘三郎さん本葬で弔辞を読む野田秀樹

中村勘三郎さん本葬

(12月27日 築地本願寺)
 遺族とともに勘三郎さんの最期をみとった劇作家の野田秀樹氏(57)、女優の大竹しのぶ(55)、野球評論家の江川卓氏(57)が早すぎる死を悼んだ。

 野田氏は弔辞で「どうか安らかなんかに眠ってくれるな。この世のどこかをまだウロウロしていてくれ」と涙で声を詰まらせながら笑顔の遺影に呼び掛けた。2人は同い年で30年来の親友。01年に野田氏が脚本・演出を手がけた新作歌舞伎「野田版 研辰(とぎたつ)の討たれ」を勘三郎さんが歌舞伎座で上演するなどし「勘三郎さんの中には芝居の神髄がびっしり詰まっていた。誰も君のようには二度とやれない。君ほど愛された役者を知らない」としのんだ。

 また「君はせっかちだった」と、エレベーターを待ちきれずにドアをこじ開けようとしたエピソードも披露。「待ち切れずにエレベーターをこじ開けるように、君はこの世を去ってゆく。化けて出てきてくれ。そして、俺を驚かせてくれ。君の死はそんな理不尽な願いを抱かせる」と早すぎる死をまだ受け入れられない胸中を明かした。

 大竹も弔辞で「小さな白い箱を蹴破って“冗談じゃないよ、全く”って言って、チャーミングな笑顔で私たちの前に現れてくれるほうが現実味がある」と野田氏と同じ心情を吐露。闘病中の様子について、思うように体が動かせなくなってからも表情と手首だけで見得(みえ)を切っていたと明かし「意識がはっきりしていなくても、芝居の話をすると大きく目を開き、私たちの話を聞いてくれましたね」と遺影に呼び掛けた。そして最後に「のりさん、大好きです。今もこれからも。ありがとう。またね」と声を震わせながら別れを告げた。

 また、江川氏は取材陣の問いかけに、目を真っ赤にしながら「きょうはちょっと…すみません」と答えるのが精いっぱいだった。本葬で顔を合わせた野田氏と大竹には「全く信じられない。受け入れるのに時間がかかる」と話していたという。

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