勘三郎さん通夜 各界から参列、祭壇に衣装、ワイン、カレーライス

[ 2012年12月11日 06:00 ]

通夜が行われた中村勘三郎さんの自宅

 急性呼吸窮迫症候群のため5日に57歳で亡くなった歌舞伎俳優の中村勘三郎(なかむら・かんざぶろう、本名波野哲明=なみの・のりあき)さんの通夜が10日、東京都文京区内の自宅で営まれた。親交のあった長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(76)や映画の山田洋次監督(81)、「嵐」の松本潤(29)ら約700人が参列。早すぎる死を悼んだ。

 次男の中村七之助(29)と高校時代の同級生の松本は「自分の息子のように分け隔てなくかわいがってくださった」と沈痛な表情。勘三郎さんが大ファンで、05年の「勘三郎襲名を祝う会」の発起人を務めた長嶋氏、舞台での共演を機に親交を深めた大竹しのぶ(55)、歌舞伎と現代劇の融合を目指した劇作家の野田秀樹氏(56)らも参列した。

 タキシード姿の遺影は09年10月、長男の中村勘九郎(31)と女優前田愛(29)との結婚式に出席した際に撮影した一枚。好江夫人と寄り添う写真やミッキーマウスと楽屋で並ぶツーショットも飾られた。棺は玄関に入ってすぐそばの1階リビングに置かれ、「船弁慶」で演じた静御前の舞台衣装が掛けられた。親族や親しい関係者からの約300の白い枕花に囲まれた。酒好きで知られた勘三郎さんらしく、仏ブルゴーニュ地方の赤ワイン「エシェゾー」などボトル2本が供えられた。大好きだったカレーライスも小皿に盛られた。

 早すぎる死を惜しむ声は海外からも届いた。米ニューヨーク市からは、04年7月に平成中村座の公演を行ったリンカーンセンターと、俳優養成所から。ルーマニア・シヴィウ市からは、08年5月に参加した国際演劇祭の演劇プロデューサーから追悼メッセージが寄せられた。悲報を大きく伝えたニューヨーク・タイムズの紙面も棺のそばに置かれた。

 喪主は勘九郎と七之助。ただ、2人とも京都・南座で勘九郎の襲名披露を兼ねた「吉例顔見世興行」に出演中のため深夜に帰京。好江さんが代理を務めた。葬儀・告別式は11日午前11時から自宅で密葬として営まれる。勘九郎と七之助は早朝に京都に向かう予定。後日、本葬が開かれる。 

 ▽主な参列者 中村福助、宮沢りえ、三田寛子、沢村田之助、松本潤、山田洋次、中村吉右衛門、寺島しのぶ、富司純子、中村梅玉、田畑智子、中村獅童、市川猿之助、篠山紀信、古田新太、岩城滉一、松本幸四郎、串田和美、津川雅彦、市川染五郎、三宅健、尾上菊五郎、尾上菊之助、柄本明、鈴木京香、蒼井優、生田斗真、生田竜聖、橋爪功、渡辺えり、水谷八重子、小日向文世、坂東三津五郎、松たか子(順不同、敬称略)

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