大滝秀治さんお別れの会に980人…倉本聰氏が別れの言葉

[ 2012年10月23日 06:00 ]

天皇陛下からの祭粢料が供えられた大滝秀治さんの祭壇

 肺扁平(へんぺい)上皮がんのため2日に87歳で亡くなった俳優の大滝秀治(おおたき・ひでじ)さんのお別れの会が22日、東京都港区の青山葬儀所で営まれた。出演ドラマ「北の国から」の脚本を手掛けた倉本聰氏(77)や女優の八千草薫(81)ら一般参列者を含む約980人が駆け付けた。倉本氏は「北の国から」の思い出話を披露しながら「あなたは僕の師匠でした」と別れの言葉を読んだ。

 優しくほほ笑む大滝さんの遺影を前に、倉本氏は「あなたは狂気の役者でした」と話し始めた。大滝さんが主人公・黒板五郎(田中邦衛)のいとこの牧場主を演じた「北の国から」で、役作りのため地元の農村を歩き回って住民からジャンパーや帽子を強引に借り「追いはぎの大滝と恐れられた」というエピソードを紹介。「あなたは(役どころの)履歴づくりや住まいの地図、景色、そうしたところから役を生み出すということを僕に教えてくださいました。あなたは僕の師匠でした」と語りかけた。

 「北の国から」の出演者は6月に地井武男さん、今月14日には大滝さんの妻役を演じた今井和子さんが亡くなった。倉本氏は笠智衆さんや伊丹十三さんらの名前も挙げながら「あなたとテレビに打ち込んだ日々が、どんどん遠くにかすんでいきます。富良野(北海道)の駅前にある北の国から資料館に、ずらりと飾られた出演者の顔写真に黒い喪章が年を追うごとに増えていきます」と寂しそうな表情を浮かべた。「テレビがどんどん僕から離れます。寂しいです。思えばあのころが僕らが生きていた時だったんですね」と語り、最後は「天国の人々の衣装をいくら気に入っても、追いはぎなさらないように」と締めた。

 お別れの会は、大滝さんとともに劇団民芸の連名代表を務めた女優の奈良岡朋子(82)が葬儀委員長を務め、後輩女優の樫山文枝(71)が司会を担当。日色ともゑ(71)が弔電を紹介した。大滝さんが出演した舞台「審判」「らくだ」などの映像も上映された。祭壇は故人の遺志で、シンプルをテーマに劇団民芸の演出部が製作。白いユリやランなど1万本の花で飾られ、中央には白いカーネーションを使い劇団民芸のマークがかたどられた。

 遺影は2010年の舞台「巨匠」のパンフレットで使用された一枚。戒名は「瑞藝院秀聲居士(ずいげいいんしゅうせいこじ)」。劇団民芸と芸術の「芸」、名前の「秀」が入れられた。

◆主な参列者 萬田久子、夏木マリ、阿部寛、浅野忠信、ガッツ石松、小林亜星、佐々木すみ江、イッセー尾形、多岐川裕美、浅香光代、白川由美、降旗康男、藤岡弘、=順不同、敬称略=

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